東北新幹線に乗って北へ向かいたいけれど、「はやぶさとやまびこは停車駅がどう違うの?」「自分の目的地にはどの列車が停まるの?」と迷った経験はありませんか。東北新幹線は東京駅から新青森駅まで全長713.7kmを結ぶ日本有数の長距離路線で、その間に全23駅が設置されています。
しかも、走る列車は「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」「なすの」の4種類に加え、秋田新幹線「こまち」と山形新幹線「つばさ」も東北新幹線の線路を共有して走っています。列車ごとに停車パターンが大きく異なるため、事前に知っておかないと「乗った列車が目的の駅を通過してしまった」という事態になりかねません。この記事では、東北新幹線の全23停車駅を一覧で紹介しながら、列車別の停車パターン、各駅の歴史や見どころ、お得な乗り方まで徹底的に解説します。
📌 この記事でわかること
- 東北新幹線の全23駅の一覧と東京からの距離・所要時間
- はやぶさ・やまびこ・なすのなど列車タイプ別の停車パターン
- こまち・つばさとの連結・切り離しの仕組み
- 各駅の歴史・見どころ・乗り換え情報
- 開業から40年超の東北新幹線の歴史と未来
東北新幹線の全23停車駅を一覧で紹介

東京から新青森まで713.7kmを結ぶ大動脈
東北新幹線は、東京駅から新青森駅まで713.7kmを結ぶJR東日本の基幹路線です。首都圏と東北地方を一本の線で結び、沿線人口は約2,000万人に及ぶ日本の大動脈のひとつです。最速列車「はやぶさ」を使えば、東京〜仙台間を最短約1時間30分、東京〜新青森間を最短約2時間58分で移動できます。
この路線が特徴的なのは、列車の種類によって停車駅がまったく異なる点です。最速の「はやぶさ」は大宮〜仙台間を無停車で駆け抜けますが、「なすの」は各駅に丁寧に停まります。同じホームから乗車しても、行き先と停車パターンが大きく違うのです。これは東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」の関係に似ていますが、東北新幹線はさらに山形新幹線「つばさ」や秋田新幹線「こまち」が途中で分岐するため、より複雑な運行体系になっています。
全23駅の一覧と東京からの距離
東北新幹線の全停車駅を東京駅からの営業キロ数とともに一覧で紹介します。営業キロとは運賃計算に使う正式な距離のことで、実際の線路の長さとは若干異なる場合があります。23駅は南から順に、東京・上野・大宮・小山・宇都宮・那須塩原・新白河・郡山・福島・白石蔵王・仙台・古川・くりこま高原・一ノ関・水沢江刺・北上・新花巻・盛岡・いわて沼宮内・二戸・八戸・七戸十和田・新青森です。
特徴的なのは、駅間の距離が南部と北部で大きく異なることです。東京〜大宮間はわずか30.3kmなのに対し、仙台〜盛岡間は183.5kmもあります。北に行くほど駅間距離が広がる傾向にあり、盛岡〜新青森間の178.4kmには5駅しかありません。これは人口密度の違いを反映しています。
| 駅名 | 東京からの距離 | 主な都道府県 | はやぶさ最速所要時間 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 0.0km | 東京都 | ─ |
| 上野 | 3.6km | 東京都 | 約6分 |
| 大宮 | 30.3km | 埼玉県 | 約23分 |
| 小山 | 80.6km | 栃木県 | (やまびこ約40分) |
| 宇都宮 | 109.5km | 栃木県 | (やまびこ約48分) |
| 那須塩原 | 157.8km | 栃木県 | (なすの約1時間8分) |
| 新白河 | 185.4km | 福島県 | (やまびこ約1時間15分) |
| 郡山 | 226.7km | 福島県 | 約1時間17分 |
| 福島 | 272.8km | 福島県 | 約1時間24分 |
| 白石蔵王 | 306.8km | 宮城県 | (やまびこ約1時間45分) |
| 仙台 | 351.8km | 宮城県 | 約1時間30分 |
| 古川 | 395.0km | 宮城県 | 約2時間3分 |
| くりこま高原 | 416.2km | 宮城県 | (やまびこ約2時間15分) |
| 一ノ関 | 445.1km | 岩手県 | 約2時間8分 |
| 水沢江刺 | 470.1km | 岩手県 | (やまびこ約2時間25分) |
| 北上 | 487.5km | 岩手県 | 約2時間18分 |
| 新花巻 | 500.0km | 岩手県 | (やまびこ約2時間35分) |
| 盛岡 | 535.3km | 岩手県 | 約2時間10分 |
| いわて沼宮内 | 566.4km | 岩手県 | 約2時間40分 |
| 二戸 | 601.0km | 岩手県 | 約2時間50分 |
| 八戸 | 631.9km | 青森県 | 約2時間42分 |
| 七戸十和田 | 668.0km | 青森県 | 約3時間 |
| 新青森 | 713.7km | 青森県 | 約2時間58分 |
区間ごとの最高速度が異なる理由
東北新幹線は区間によって最高速度が大きく異なります。東京〜大宮間は最高110km/hという新幹線としては驚くほど低い速度で走行しています。これは開業前に沿線住民との間で交わされた騒音に関する協定が理由です。1982年の開業時、都市部を走る新幹線の騒音が大きな社会問題となり、住民との合意のもとで速度制限が設けられました。
一方、宇都宮〜盛岡間では最高320km/hで疾走します。これは日本の鉄道における営業運転の最高速度です。ただし盛岡〜新青森間は最高260km/hに制限されています。この区間は「整備新幹線」として建設され、国の規定により260km/hが上限とされてきました。しかし2028年頃にはこの制限が撤廃され、320km/hに引き上げられる計画が進んでいます。実現すれば整備新幹線区間で初めて260km/hの壁を破ることになり、東京〜新青森間の所要時間が約5分短縮される見込みです。
東北新幹線を走る6つの列車タイプ
東北新幹線の線路上を走る列車は6種類あります。東北新幹線固有の列車として「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」「なすの」の4種類、さらにこの線路を共有して走る秋田新幹線「こまち」と山形新幹線「つばさ」を加えた合計6種類です。
「はやぶさ」は最速達列車で全車指定席、大宮〜仙台間を無停車で走ります。「やまびこ」は準速達列車で自由席あり、停車パターンが列車ごとに大きく異なるのが特徴です。「なすの」は東京〜郡山間の各駅停車で自由席あり、通勤・通学にも利用されます。「はやて」は現在定期列車としてはほぼ姿を消し、盛岡〜新青森間のシャトル便や臨時列車としてわずかに残るのみです。「こまち」は盛岡駅で「はやぶさ」と連結・切り離しを行い秋田方面へ、「つばさ」は福島駅で「やまびこ」と連結・切り離しを行い山形・新庄方面へ向かいます。
東海道新幹線との違い──なぜ直通できないのか
東京駅では東海道新幹線(14〜19番線)と東北新幹線(20〜23番線)が同じ駅にありながら、直通運転はしていません。「東京駅でつながっているのに、なぜ直通しないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。その理由は複数あります。
まず電気方式の違いです。東海道新幹線は交流25,000V・60Hz、東北新幹線は交流25,000V・50Hzと周波数が異なります。さらに、線路の構造上東京駅の地下で両者はつながっておらず、物理的にも直通できません。加えて、東海道新幹線はJR東海、東北新幹線はJR東日本と運営会社が異なることも大きな障壁です。ダイヤ編成、車両規格、信号システムのすべてが異なるため、仮に技術的に可能になったとしても運用面のハードルは非常に高いのです。ちなみに1964年の東海道新幹線開業時は60Hzの地域しか走らなかったため60Hz方式が採用されましたが、東北新幹線は50Hz地域を走るため50Hz方式になった、という歴史的経緯があります。
はやぶさ・やまびこ・なすの──列車別の停車駅パターン

「はやぶさ」は大宮〜仙台ノンストップの最速列車
「はやぶさ」は東北新幹線で最も速い列車で、最高速度320km/hを誇ります。使用車両はE5系(緑色の車体)で、北海道新幹線直通便ではH5系も使われます。全車指定席のため自由席はなく、乗車には必ず座席指定券が必要です。
停車パターンの基本は、東京・上野・大宮・仙台・盛岡・新青森です。すべての「はやぶさ」がこの6駅に停車し、大宮〜仙台間の約320kmをノンストップで走り抜けます。列車によっては郡山・福島・一ノ関・北上・八戸などに追加で停車するものもありますが、大宮〜仙台間が無停車であることは全列車で共通しています。東京〜仙台間は最短約1時間30分、東京〜新青森間は最短約2時間58分です。多くの「はやぶさ」は新青森からさらに北海道新幹線に直通し、新函館北斗まで運行しています。
「はやぶさ」の愛称は、かつて東京〜鹿児島間を結んでいた寝台特急「はやぶさ」に由来します。ブルートレインの代名詞だった「はやぶさ」は2009年に廃止されましたが、その名はわずか2年後の2011年、東北新幹線E5系の最速達列車として華々しく復活しました。「速さ」を象徴する鳥の名を冠する伝統が受け継がれているのです。
「やまびこ」は停車パターンが23種類以上ある”千変万化”の列車

「やまびこ」は東京〜仙台・盛岡間を走る準速達列車で、東北新幹線の中で最もバリエーション豊かな停車パターンを持つことで知られています。その数はなんと20パターン以上にも及び、鉄道ファンの間では「やまびこの停車パターンは二つとして同じものがない」と言われるほどです。
大まかに分けると、「速達タイプ」と「各停タイプ」の2種類があります。速達タイプの「やまびこ」は大宮の次が福島、そして仙台と主要駅だけに停まるため、所要時間は「はやぶさ」とそこまで変わりません。一方、各停タイプは小山・宇都宮・那須塩原・新白河…と細かく停車するため、東京〜仙台間で約2時間〜2時間20分かかります。「やまびこ」には自由席があるのが「はやぶさ」との大きな違いで、指定席料金を節約したい方や、時間に融通を利かせたい方に支持されています。利用する際は、自分が降りたい駅に停まるかどうか、必ず時刻表で確認しましょう。
「なすの」は南部エリアの各駅停車──通勤新幹線としての顔
「なすの」は東京〜那須塩原・郡山間を走る各駅停車タイプの列車です。東京から小山・宇都宮・那須塩原・新白河・郡山とすべての駅に停車するのが特徴で、東北新幹線の南部エリアをきめ細かくカバーしています。
意外に知られていないのが、「なすの」には通勤新幹線としての重要な役割があることです。朝夕のラッシュ時には、宇都宮や小山から東京へ通勤するビジネスパーソンが多数利用しています。宇都宮〜東京間は新幹線で約48分と、在来線の約1時間50分と比べて圧倒的に速いのです。「新幹線通勤」は贅沢に聞こえるかもしれませんが、宇都宮の家賃は東京23区の3分の1以下。新幹線定期代を考慮しても生活費全体では安くなるケースがあり、近年は「新幹線通勤」を前提に北関東に移住する人も増えています。こうした需要を支えているのが「なすの」なのです。
「はやて」──かつての主役はなぜ姿を消したのか
「はやて」は、かつて東北新幹線の最速達列車として活躍した列車です。2002年に盛岡〜八戸間が延伸開業した際に新設され、全車指定席の速達列車として東京〜八戸間を結びました。「はやぶさ」が登場する前は、「はやて」こそが東北新幹線の「顔」だったのです。
しかし2011年にE5系「はやぶさ」がデビューすると、最速達列車の座を明け渡しました。「はやぶさ」の最高速度320km/hに対し、「はやて」に使われていたE2系の最高速度は275km/h。速度差が歴然だったため、東京発着の定期「はやて」は徐々に「はやぶさ」に置き換えられていきました。現在では東京発着の定期「はやて」はほぼ消滅し、盛岡〜新青森間のシャトル便や臨時列車としてわずかに名前が残るのみです。「はやて」の愛称は公募で選ばれたもので、疾風(はやて)のように速いという意味が込められていましたが、さらに速い「はやぶさ」の登場により、その役目を終えたと言えるでしょう。
列車タイプ別・停車駅の早見表
東北新幹線の主要4列車の停車パターンを一覧にまとめました。「はやぶさ」と「はやて」は全車指定席、「やまびこ」と「なすの」は自由席ありです。注意すべきなのは、「やまびこ」の停車パターンは列車ごとに大きく異なるため、下表はあくまで代表的なパターンであるという点です。
特に初めて東北新幹線を利用する方は、えきねっとやJR東日本のホームページで具体的な列車の停車駅を確認することを強くおすすめします。同じ「やまびこ」でも、宇都宮や郡山を通過する便もあれば、全駅に停車する便もあります。「やまびこだから自分の駅に停まるだろう」と思い込むのは禁物です。
| 駅名 | はやぶさ | やまびこ | なすの |
|---|---|---|---|
| 東京 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 上野 | ○ | ◎ | ◎ |
| 大宮 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 小山〜新白河 | × | △一部 | ◎ |
| 郡山・福島 | △一部 | ◎ | ○郡山まで |
| 仙台 | ◎ | ◎ | ─ |
| 古川〜新花巻 | △一部 | △一部 | ─ |
| 盛岡 | ◎ | ◎ | ─ |
| 盛岡以北 | △一部 | ─ | ─ |
| 新青森 | ◎ | ─ | ─ |
◎=全列車停車 ○=ほぼ全列車停車 △=一部列車のみ停車 ×=通過 ─=運行区間外
こまち・つばさとの連結と乗り換え駅の仕組み
盛岡駅で「はやぶさ」と「こまち」が分かれる瞬間

東北新幹線の見どころのひとつが、盛岡駅での「はやぶさ」と「こまち」の連結・切り離しです。東京〜盛岡間では、E5系「はやぶさ」10両とE6系「こまち」7両が連結した17両編成で走行します。盛岡駅に到着すると、ホーム上で両者が切り離され、「はやぶさ」は北へ向かって新青森方面へ、「こまち」は西へ分かれて秋田方面へと走っていきます。
この連結・切り離しの作業は所要時間わずか約2分という驚くべき速さで行われます。自動連結器が「ガチャン」と外れ、2つの列車がゆっくりと離れていく光景は鉄道ファンならずとも見入ってしまうもので、盛岡駅のホームには「連結・切り離し見学スポット」として案内表示がされているほどです。日本全国で新幹線の連結・切り離しが見られるのは、盛岡駅と福島駅のたった2か所しかありません。
福島駅で「やまびこ」と「つばさ」が分かれる仕組み
もうひとつの連結・切り離しポイントが福島駅です。ここでは「やまびこ」と山形新幹線「つばさ」が分離します。東京〜福島間は両者が連結した14両編成(やまびこ7両+つばさ7両)で走行し、福島駅で切り離された「つばさ」は奥羽本線に入って山形・新庄方面へ向かいます。
ここで面白いのが、山形新幹線は厳密には「新幹線」ではないという点です。「つばさ」が走る福島〜新庄間は、在来線の奥羽本線の線路幅を新幹線と同じ1,435mmに広げた(改軌した)区間で、「ミニ新幹線」と呼ばれます。専用の高架線を走る「フル規格新幹線」とは異なり、踏切もあれば単線区間もあります。最高速度も在来線区間では130km/hに制限されます。しかし東北新幹線の線路上では「やまびこ」と連結して走るため、宇都宮〜福島間では最高275km/h(2026年3月からは300km/hに引き上げ予定)で走行します。
山形新幹線「つばさ」に使われる最新のE8系は2024年にデビューした車両で、最高速度300km/hに対応しています。従来のE3系(最高275km/h)からの置き換えが進んでおり、2026年春にはすべての「つばさ」がE8系に統一される予定です。これにより東京〜山形間の所要時間がさらに短縮されます。
大宮駅──東北・上越・北陸3路線の分岐点
東北新幹線の停車駅のなかで最も重要なジャンクション(分岐駅)が大宮駅です。ここで東北新幹線から上越新幹線(新潟方面)と北陸新幹線(金沢・敦賀方面)が分岐するため、すべての列車が必ず停車します。
大宮駅は1982年の東北新幹線開業時、始発駅として使われていた歴史があります。当時は上野〜大宮間がまだ開通しておらず、乗客は上野駅から在来線の「新幹線リレー号」に乗り換えて大宮駅まで行き、そこから新幹線に乗車していました。この不便な状況が1985年の上野延伸で解消されましたが、大宮駅が東北新幹線の「発祥の地」であることは今も語り継がれています。駅の近くには鉄道博物館があり、0系新幹線の実物や鉄道の歴史を学ぶことができます。
仙台駅──東北最大の乗降客数を誇るターミナル
仙台駅は東北地方最大の都市・仙台市の中心に位置し、東北新幹線では最も乗降客数が多い途中駅です。すべての列車タイプ──「はやぶさ」「やまびこ」「こまち」「つばさ」──が停車し、東北各方面への乗り換え拠点でもあります。
仙台駅で注目したいのが駅弁文化です。仙台は「牛タン弁当」の聖地として知られ、駅構内の「駅弁屋 祭」では数十種類の駅弁が並びます。なかでも「網焼き牛たん弁当」は紐を引くと蒸気で温まる加熱式容器を採用しており、できたてのような牛タンが楽しめます。この加熱式駅弁の仕組みは生石灰(酸化カルシウム)と水の化学反応を利用したもので、紐を引くと石灰に水が加わり、発熱反応によって蒸気が発生するのです。仙台の「杜の都」という愛称は、伊達政宗が城下町を作る際に屋敷内に必ず木を植えるよう奨励したことに由来するとされています。
東京〜福島エリアの停車駅と各駅の特徴
東京駅──東北への玄関口は20〜23番線
東北新幹線の起点・東京駅は、20〜23番線のホームから発着します。東海道新幹線(14〜19番線)とは離れた位置にあるため、乗り換えには最低10〜15分はかかります。初めて利用する方は余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
東京駅は1914年(大正3年)に辰野金吾の設計で開業した赤レンガ駅舎が有名ですが、東北新幹線がこの駅に乗り入れたのは1991年のことです。開業当初の1982年は大宮駅が始発で、1985年に上野まで延伸し、ようやく1991年に東京駅まで到達しました。約10年かけて段階的に南へ延伸した歴史があるのです。東京駅の地下には新幹線のホームが4面あり、東北新幹線のほか上越・北陸新幹線も同じホームを共有しています。
上野駅──地下30メートルの「もうひとつの始発駅」
上野駅の新幹線ホームは地下約30メートルという深さにあり、東北新幹線で最も深い位置にある駅です。エスカレーターを何本も乗り継いでホームに降りていく体験は、まるで地下神殿に向かうかのような独特の雰囲気があります。
上野駅は東京延伸前の1985年〜1991年の間、東北新幹線の始発駅として機能していました。さらにその歴史を遡れば、上野駅は明治時代から「北の玄関口」として東北方面への列車が発着するターミナルでした。集団就職列車が到着した駅としても知られ、石川啄木の歌「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」に詠まれた「停車場」はまさに上野駅のことです。現在は多くの「はやぶさ」が上野に停車しますが、一部の速達便は通過するため注意が必要です。
小山駅・宇都宮駅──北関東の2大拠点
小山駅と宇都宮駅は、「なすの」と一部の「やまびこ」が停車する北関東エリアの主要駅です。「はやぶさ」は両駅を通過するため、利用する際は列車の選択に注意が必要です。
小山駅は両毛線や水戸線への乗り換え駅で、群馬方面や茨城方面へのアクセス拠点でもあります。宇都宮駅は栃木県の県庁所在地の玄関口で、東京から約48分という近さから新幹線通勤者が多い駅です。宇都宮といえば「餃子の街」として全国的に有名で、駅前には餃子の像が立ち、駅周辺には餃子専門店が軒を連ねています。宇都宮が餃子で有名になった理由は、戦後に中国大陸から引き揚げてきた兵士たちが現地で覚えた餃子の味を再現したことが始まりとされており、1人あたりの餃子消費量で長年日本一を誇ってきました。
郡山駅──福島県の交通の要衝
郡山駅は福島県の中央に位置する交通の要衝で、東北新幹線のほか磐越西線(会津若松・新潟方面)や磐越東線(いわき方面)が発着します。「はやぶさ」の一部と、ほぼすべての「やまびこ」が停車するため、福島県内では最も利便性の高い新幹線駅です。東京からの所要時間は「やまびこ」で約1時間17分です。
郡山は明治時代、安積疏水(あさかそすい)の開削によって荒地が豊かな農地に変わり、急速に発展した歴史を持つ街です。現在は福島県内最大の商業都市となり、「経済県都」と呼ばれることもあります。駅弁では「福豆屋」の海苔のりべん(のり弁当)が人気で、全国駅弁ランキングでも常連です。ちなみに郡山駅のホームから見える安達太良山は、高村光太郎の詩集『智恵子抄』に「阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる青い空が、ほんとの空だといふ」と詠まれた名峰です。
福島駅──「つばさ」が分岐する山形への入口

福島駅は山形新幹線「つばさ」との分岐駅として重要な位置を占めています。東京方面から走ってきた「やまびこ+つばさ」の連結列車は、福島駅で切り離しを行い、「つばさ」は奥羽本線に入って山形・新庄方面へ向かいます。この連結・切り離しの様子はホームから間近に見ることができます。
福島駅は「果物王国」福島県の玄関口でもあります。福島県は桃・梨・りんご・さくらんぼなど多種多様な果物の産地で、福島駅周辺にはフルーツパーラーや果物直売所が点在しています。特に桃の生産量は山梨県に次いで全国2位。新幹線の車窓からも、春には桃の花が咲き誇る風景を楽しめます。駅から車で約15分の花見山公園は、写真家の秋山庄太郎が「福島に桃源郷あり」と称えた花の名所で、桜・レンギョウ・花桃が一斉に咲く春の景色は圧巻です。
📝 東京〜福島エリアの乗り換え路線
- 東京駅:東海道新幹線、JR在来線各線、東京メトロ
- 上野駅:JR山手線・京浜東北線・常磐線、京成線(成田空港)
- 大宮駅:上越新幹線、北陸新幹線、JR在来線、東武アーバンパークライン
- 小山駅:JR両毛線、JR水戸線
- 宇都宮駅:JR日光線、宇都宮ライトレール(2023年開業)
- 郡山駅:JR磐越西線(会津若松)、JR磐越東線(いわき)
- 福島駅:山形新幹線「つばさ」(山形・新庄方面)、JR奥羽本線
仙台〜盛岡エリアの停車駅と各駅の特徴
白石蔵王駅──東北新幹線で最も乗降客が少ない「秘境駅」
白石蔵王駅は仙台駅の南に位置する小さな駅で、「やまびこ」の一部のみが停車します。実は東北新幹線23駅のなかで1日あたりの乗降客数が最も少ない駅のひとつで、その数は約1,000人前後。東京駅の1日約9万人とは桁違いの少なさです。
しかし、この駅は蔵王連峰への玄関口として重要な役割を担っています。蔵王は冬のスキーと「樹氷」で世界的に有名な山で、樹氷は「アイスモンスター」とも呼ばれ、アオモリトドマツに雪と氷が付着して成長する自然現象です。この樹氷が見られるのは世界でも限られた地域で、蔵王はその最も有名なスポットのひとつです。また、蔵王の「御釜」はエメラルドグリーンの火口湖で、天候や太陽光の角度によって色が変わることから「五色沼」とも呼ばれています。白石蔵王駅からバスでアクセスできるため、知る人ぞ知る新幹線旅行の穴場です。
古川駅・くりこま高原駅──宮城県北部への入口
古川駅は宮城県大崎市の中心駅で、「はやぶさ」の一部と「やまびこ」が停車します。鳴子温泉郷への最寄り駅として観光客にも利用されており、駅からバスで約40分で鳴子温泉に到着します。鳴子温泉は11種類の泉質を持つ日本有数の温泉地で、日本にある11種の泉質のうち9種がここに集中しているという驚きの多様性を誇ります。
くりこま高原駅は2002年の八戸延伸時ではなく、1990年に開業した比較的新しい駅で、「やまびこ」の一部のみが停車します。駅名は栗駒山にちなんでおり、秋の紅葉シーズンには全山が赤・橙・黄に染まる「神の絨毯」と呼ばれる絶景が楽しめます。停車する列車が少ないため、利用する際は時刻表の事前確認が必須です。ただし、逆にこの「停まる列車が少ない」ことが混雑を避けたい旅行者にとってはメリットにもなり、ホームも車内も比較的空いていることが多いのです。
一ノ関駅──世界遺産・平泉への最寄り駅
一ノ関駅は「はやぶさ」の一部と「やまびこ」が停車する岩手県南部の拠点駅で、世界遺産・平泉への最寄り新幹線駅として多くの観光客が利用しています。平泉へはJR東北本線に乗り換えて約8分で到着します。
平泉は2011年にユネスコ世界文化遺産に登録された歴史都市で、その中心は中尊寺の金色堂です。1124年に奥州藤原氏の初代・藤原清衡が建立した金色堂は、堂全体を金箔で覆ったまさに「黄金の堂」で、松尾芭蕉が『奥の細道』で「五月雨の降り残してや光堂」と詠んだことでも知られています。平泉はかつて奥州藤原氏のもとで栄華を極め、全盛期には京都に次ぐ日本第二の都市だったとも言われています。一ノ関駅はまた、猊鼻渓(げいびけい)の舟下りの拠点でもあり、高さ100メートルの断崖に囲まれた渓谷を小舟で進む体験は東北旅行のハイライトのひとつです。
✅ 一ノ関駅から行ける観光スポット
平泉・中尊寺(JR東北本線で約8分)→ 世界遺産の金色堂
猊鼻渓(JR大船渡線で約30分)→ 断崖絶壁の舟下り
厳美渓(バスで約20分)→ 「空飛ぶだんご」で有名な渓谷
毛越寺(JR東北本線で約8分+徒歩)→ 浄土庭園が美しい世界遺産
盛岡駅──わんこそばの街と「こまち」の分岐点
盛岡駅は岩手県の県庁所在地・盛岡市の玄関口であり、秋田新幹線「こまち」が分岐する重要なジャンクションです。すべての「はやぶさ」と「やまびこ」が停車し、東京からは最短約2時間10分で到着します。
盛岡といえば「三大麺」──わんこそば・じゃじゃ麺・冷麺──が有名です。なかでもわんこそばは、給仕係が次々とそばを椀に放り込んでいくスタイルで知られ、100杯以上食べる猛者もいます。わんこそばの起源には諸説ありますが、一説では南部藩の殿様をもてなす際に、一口ずつ椀に盛った蕎麦を次々と出したことが始まりとされています。また盛岡は石川啄木の故郷でもあり、駅前には啄木の歌碑が建てられています。盛岡駅のホームで見られる「はやぶさ」と「こまち」の連結・切り離しは東北新幹線の名物イベントで、多くの親子連れが見学に訪れます。
盛岡〜新青森エリアの停車駅と各駅の特徴
いわて沼宮内駅・二戸駅──盛岡以北の静かな2駅
盛岡から北へ進むと、東北新幹線の中でも特に利用者が少ないエリアに入ります。いわて沼宮内駅と二戸駅は「はやぶさ」の一部のみが停車する駅で、1日の乗降客数はそれぞれ数百人程度です。
いわて沼宮内駅は2002年の盛岡〜八戸延伸時に開業した駅で、IGRいわて銀河鉄道に乗り換えることができます。実はこの「IGRいわて銀河鉄道」の名前には面白い由来があります。「IGR」は「Iwate Galaxy Railway」の略で、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』にちなんで名づけられました。賢治の故郷・花巻と同じ岩手県内を走る鉄道にふさわしい名前です。二戸駅は浄法寺漆の産地として知られる二戸市の玄関口で、日本の漆生産量の約7割を占めるという知る人ぞ知る漆の聖地です。漆器の最高級品として知られる浄法寺漆は、中尊寺金色堂の修復にも使用されています。
八戸駅──2002年延伸の「もうひとつの終着駅」
八戸駅は2002年12月に盛岡〜八戸間が延伸開業した際の北の終着駅でした。2010年に新青森まで延伸されるまでの8年間、八戸は東北新幹線の最北端として機能していました。現在は「はやぶさ」の一部が停車するほか、JR八戸線への乗り換え駅として利用されています。
八戸は太平洋に面した港町で、水産業が盛んな街です。駅から車で約20分の八食センターは、約60店舗が軒を連ねる巨大な市場で、新鮮な魚介類をその場で焼いて食べられる「七厘村」が観光客に人気です。また八戸は「八戸えんぶり」という伝統芸能でも知られています。毎年2月に開催されるこの祭りは、太夫(たゆう)と呼ばれる舞い手が馬の頭を模した烏帽子をかぶって舞う豊年祈願の行事で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
七戸十和田駅──十和田湖と奥入瀬渓流への玄関口
七戸十和田駅は2010年の八戸〜新青森延伸時に開業した駅で、「はやぶさ」の一部のみが停車します。駅名が示すとおり、十和田湖と奥入瀬渓流への最寄り新幹線駅として観光利用が中心です。
十和田湖は青森県と秋田県にまたがる二重カルデラ湖で、最大水深は326.8メートルと日本で3番目の深さを誇ります。カルデラ湖とは火山の噴火でできた窪地に水が溜まった湖のことで、十和田湖は約2万年前から5,500年前にかけて数回の大噴火によって形成されました。そこから流れ出る奥入瀬渓流は約14kmの清流で、新緑や紅葉の時期には息をのむような美しさです。奥入瀬渓流の苔の種類は約300種ともいわれ、「苔の渓流」としても近年注目されています。七戸十和田駅からはバスで約1時間で十和田湖畔に到着します。
新青森駅──東北新幹線の終着駅から北海道への架け橋
新青森駅は2010年12月4日に開業した東北新幹線の北の終着駅であり、同時に北海道新幹線の起点でもあります。「はやぶさ」の多くはここで折り返さず、そのまま北海道新幹線に直通して新函館北斗まで運行しています。東京からの所要時間は最短約2時間58分です。
新青森駅は青森市の中心部からやや離れた場所に位置しており、JR奥羽本線で1駅(約6分)の青森駅が市の中心です。青森といえば毎年8月に開催される「ねぶた祭」が世界的に有名です。巨大な灯籠(ねぶた)を山車に乗せて街を練り歩く祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されており、毎年約300万人の観光客が訪れます。新青森駅から徒歩圏内にはありませんが、青森駅のすぐそばにある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」では祭りの時期以外でも実物大のねぶたを鑑賞できます。また、新青森駅と新函館北斗駅の間には、全長53.85kmの青函トンネルがあり、これは世界最長の海底トンネルです。
🔵 八戸エリア
八食センターで海鮮グルメ、種差海岸の天然芝、蕪島のウミネコ繁殖地
🟢 七戸十和田エリア
十和田湖・奥入瀬渓流の絶景、十和田市現代美術館のアート作品群
🟡 新青森エリア
ねぶたの家ワ・ラッセ、浅虫温泉、八甲田山ロープウェー、弘前城の桜
東北新幹線の歴史と未来──1982年の開業から320km/h時代へ
1982年6月23日──大宮〜盛岡間で始まった物語
東北新幹線の歴史は1982年6月23日、大宮〜盛岡間505kmの開業から始まりました。東海道新幹線の開業(1964年)から実に18年後のことです。開業時の最高速度は210km/hで、大宮〜盛岡間を約2時間40分で結びました。
開業当初は大宮始発という不便な形態でした。東京や上野からの乗客は、上野駅から在来線の「新幹線リレー号」に乗り換えて大宮まで行く必要がありました。この「リレー号」は185系電車を使った特別快速列車で、上野〜大宮間を約26分で結んでいました。大宮が始発になった理由は、東京〜大宮間の建設が沿線住民の騒音反対運動によって大幅に遅れたためです。この区間の開業は3年後の1985年まで待たなければなりませんでした。開業初日の記念式典では、当時の鈴木善幸首相が「東北と首都圏を結ぶ新時代の幕開け」と祝辞を述べています。
上野延伸・東京延伸──都心へのアクセスが完成するまで
1985年3月14日、上野〜大宮間が開業し、上野駅が始発駅となりました。これにより「新幹線リレー号」は廃止され、都心からの利便性が大きく向上しました。上野駅の新幹線ホームは地下深くに設けられましたが、これは都市部で地上に高架線を通すことが困難だったためです。
さらに1991年6月20日、念願の東京駅延伸が実現しました。これにより東北新幹線は東京駅を起点とする現在の姿になりました。東京〜上野間はわずか3.6kmですが、この区間の建設には約10年の歳月と巨額の費用がかかりました。地下の複雑な構造物を避けながらトンネルを掘る難工事だったのです。東京延伸によって、東海道新幹線との乗り換えが東京駅で可能になり、「新幹線で東京を通り抜ける」ルートが完成しました。この年は東北新幹線にとって画期的な年であり、同時に上越新幹線も東京乗り入れを果たしています。
八戸延伸・新青森延伸──全線開通への道のり
2002年12月1日、盛岡〜八戸間96.6kmが延伸開業しました。この区間は「整備新幹線」として建設された最初の東北新幹線区間で、最高速度260km/hでの運行が始まりました。この延伸に伴い、並行在来線のJR東北本線(盛岡〜八戸間)はJRから分離され、IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道に移管されました。
そして2010年12月4日、八戸〜新青森間81.8kmが開業し、東北新幹線は全線開通を迎えました。1971年の着工から実に39年をかけて、ついに東京から青森まで1本の新幹線でつながったのです。この区間には東北新幹線で最長のトンネルである八甲田トンネル(全長26,455メートル)が含まれています。これは陸上の鉄道トンネルとしては日本最長で、青函トンネルに次ぐ長さです。トンネルの中を新幹線が約5分間走り続ける体験は、この区間ならではのものです。
E5系デビューと320km/h──そして未来のALFA-X

2011年3月5日、東北新幹線に新型車両E5系がデビューし、最速達列車「はやぶさ」が誕生しました。当初は最高速度300km/hでスタートしましたが、2013年3月16日からは320km/hに引き上げられ、日本の鉄道で最も速い営業運転を実現しました。
E5系の特徴的な「常盤グリーン」の車体色は、東北の豊かな自然をイメージした色です。先頭車両の「鼻」の長さは約15メートルもあり、これはトンネル進入時に発生する「トンネル微気圧波」を抑えるための空力設計です。新幹線がトンネルに入ると空気が圧縮され、出口側で衝撃波のような音が発生する現象がありますが、この長い鼻がそれを緩和しているのです。さらにJR東日本は次世代試験車両「ALFA-X」(E956形)を2019年から走行試験しており、営業速度360km/hを見据えた開発が進んでいます。ALFA-Xの先頭車は鼻の長さがなんと22メートルにも及び、客室の窓がわずか3つしかないという極端な形状をしています。
大宮〜盛岡開業(最高210km/h)
上野・東京延伸で都心直結
八戸・新青森延伸で全線開通
E5系で320km/h運転を実現、ALFA-Xで360km/hを目指す
東北新幹線をお得に楽しむための旅のコツ
えきねっとの「トクだ値」「お先にトクだ値」で最大40%割引
東北新幹線をお得に利用するなら、JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」が必須です。えきねっとでは「トクだ値」と「お先にトクだ値」という2種類の割引きっぷを販売しています。
「えきねっとトクだ値」は乗車日当日まで購入可能で、5〜15%割引になります。「お先にトクだ値」は乗車日の20日前までに購入する必要がありますが、25〜40%割引と大幅にお得です。たとえば東京〜仙台間の通常の指定席料金が約11,000円のところ、お先にトクだ値30なら約7,700円で乗車できます。さらに数量限定の「お先にトクだ値スペシャル」では最大50%割引になることもあります。ただし早期割引きっぷは列車と座席の変更ができないため、スケジュールが確定している場合に利用しましょう。
グランクラスで味わう「新幹線のファーストクラス」
東北新幹線ならではの特別な体験が「グランクラス」です。E5系の10号車に設置されたグランクラスは、定員わずか18名の超プレミアム空間で、飛行機のファーストクラスに相当するサービスが提供されます。
座席はドイツのレカロ社と共同開発した本革張りシートで、リクライニング角度は45度、シートピッチ(前後間隔)は1,300mmと、グリーン車の1,160mmをさらに上回る広さです。座席配列は1列+2列の3席構成で、全席が通路に面しているため他の乗客をまたぐ必要がありません。飲食サービス付きの便では、専任アテンダントが和軽食または洋軽食を提供し、アルコールを含む飲み物がフリードリンクで楽しめます。東京〜新青森間のグランクラス料金は通常の乗車券・特急券に約10,000円の追加で利用可能。3時間の贅沢な空の旅ならぬ「線路の旅」を味わえます。
「グランクラス」の名称はフランス語の「Grande Classe」(最上級のクラス)に由来します。2011年のE5系デビューとともに登場し、新幹線に「ファーストクラス」の概念を持ち込んだ画期的なサービスでした。鉄道の歴史において、「一等車」は1960年代に廃止されていたため、グランクラスは約半世紀ぶりに鉄道に「最上級」を復活させたとも言えます。
おすすめの座席と車窓の見どころ
東北新幹線で車窓を楽しむなら、E席(進行方向右側の窓側)がおすすめです。東京から北上する場合、E席からは那須連山、安達太良山、蔵王連峰など東北の名峰が次々と見えます。特に晴れた日の宇都宮〜郡山間では、雄大な山並みが車窓いっぱいに広がります。
逆にA席(進行方向左側の窓側)からは、大宮〜宇都宮間で日光連山が見えることがあります。また、仙台付近では太平洋側が近づくため、天候次第で海の気配を感じることもできます。車窓のハイライトは郡山〜福島間で見える吾妻小富士でしょう。山頂がすり鉢状にくぼんだ独特のシルエットは、まさに「ミニ富士山」と呼ぶにふさわしい美しさです。なお、盛岡以北の区間はトンネルが多く、八甲田トンネル(26.5km)に入ると約5分間窓の外が暗くなります。トンネルを抜けた瞬間に広がる青森の風景も見逃せないポイントです。
東北新幹線で食べたいご当地駅弁ベスト5
新幹線旅行の楽しみといえば駅弁です。東北新幹線の沿線には、ご当地の食材を活かした名物駅弁が揃っています。ここでは特におすすめの5つを紹介します。
まず仙台駅の「網焼き牛たん弁当」。紐を引くと温まる加熱式容器で、できたてのような牛タンが味わえます。次に東京駅「駅弁屋祭」で全国の駅弁を選ぶ楽しみ。郡山駅の「海苔のりべん」(福豆屋)は素朴な味わいが人気で、全国駅弁大会でも高評価を受けています。盛岡駅の「岩手短角牛弁当」は赤身が美味しい短角牛を堪能できる贅沢弁当。そして八戸駅の「八戸小唄寿司」は、鯖と紅鮭の押し寿司で、駅弁コンクールの受賞歴もある実力派です。駅弁を買う際のコツは、始発駅で乗車前に購入すること。人気の駅弁は昼前には売り切れることもあるため、朝のうちに確保しておくのが得策です。
仙台
網焼き牛たん弁当
郡山
海苔のりべん
盛岡
岩手短角牛弁当
八戸
八戸小唄寿司
まとめ
東北新幹線は東京から新青森まで全23駅、713.7kmを結ぶ日本を代表する高速鉄道路線です。この記事のポイントを振り返りましょう。
✅ 押さえておきたいポイント
✓ 東北新幹線は全23駅、東京〜新青森間713.7kmを最速約2時間58分で結ぶ
✓ はやぶさは最速320km/h、大宮〜仙台ノンストップ、全車指定席
✓ やまびこは停車パターンが20種類以上あるので時刻表の事前確認が必須
✓ なすのは東京〜郡山の各駅停車、新幹線通勤の足としても活躍
✓ 盛岡駅で「こまち」、福島駅で「つばさ」が連結・切り離しされる
✓ 一ノ関→平泉(世界遺産)、七戸十和田→十和田湖・奥入瀬渓流など観光拠点も充実
✓ えきねっと「お先にトクだ値」で最大40%割引が利用できる
1982年の大宮〜盛岡間開業から40年以上を経て、東北新幹線は日本の高速鉄道技術の最先端を走り続けています。最高速度320km/hは日本の鉄道営業運転の最高記録であり、次世代試験車両ALFA-Xでは360km/hを目指す開発が進んでいます。2028年頃には盛岡〜新青森間の速度制限が撤廃され、東京〜新青森間がさらに5分短縮される見込みです。
各駅にはそれぞれの個性と魅力があります。世界遺産・平泉の玄関口である一ノ関、わんこそばと連結切り離しが名物の盛岡、ねぶた祭の青森──東北新幹線は単なる移動手段ではなく、東北の歴史・文化・食への入口でもあります。この記事を参考に、ぜひ東北新幹線の旅を計画してみてください。途中下車をしながら各駅の魅力を楽しむ旅は、きっと新幹線の楽しみ方を広げてくれるはずです。

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