「新幹線の回数券はまだ買えるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。実は、かつて多くのビジネスパーソンや旅行者に愛用されていた新幹線の回数券は、現在ほぼすべてが廃止されています。なぜJR各社は、長年親しまれてきた回数券を次々と廃止したのでしょうか?
✅ この記事でわかること
✓ 新幹線回数券の廃止時期と経緯
✓ なぜJR各社は回数券を廃止したのか
✓ 回数券に代わるお得な割引きっぷ一覧
✓ ネット予約サービスの活用法
回数券がなくなった今、実は回数券より安く新幹線に乗れる方法が数多く登場しています。この記事では、回数券廃止の背景から、最新のお得な代替手段まで徹底解説します。
新幹線の回数券はすでに全廃|廃止の経緯と理由を解説

2022年3月に指定席回数券が全区間で廃止
かつて新幹線を頻繁に利用するビジネスパーソンや旅行者にとって欠かせない存在だった「新幹線回数券」ですが、現在はほぼすべてが販売を終了しています。まず大きな転換点となったのが2022年(令和4年)3月31日で、この日をもって東海道・山陽新幹線の普通車指定席用の新幹線回数券が全区間で廃止されました。それまで「6枚綴りで約5〜8%割引」という手軽な割引手段として長年親しまれてきたきっぷが、一夜にして姿を消したのです。JR東日本も同様に、東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線などの新幹線回数券を2021年6月30日で販売終了しています。この廃止の波は新幹線だけにとどまらず、JR各社の在来線の普通回数券も次々と廃止されており、日本の鉄道から「回数券」という概念そのものが消えつつある状況です。
最後まで残っていた自由席回数券も2024年12月に販売終了
指定席回数券の廃止後も、東海道新幹線の一部区間では「新幹線回数券(普通車自由席用)」が細々と販売を続けていました。これは主に東京〜小田原、東京〜静岡、名古屋〜京都といった短・中距離区間に設定されていた6枚綴りの回数券で、割引率は約7〜8%と指定席回数券より高めでした。また、「こだま」号専用のグリーン車回数券(フレックス用こだま号グリーン回数券)も一部区間で販売されていました。しかし、JR東海は2024年1月にこれらの回数券も販売終了を発表し、2024年12月22日に販売を完全に終了しました。利用は2025年3月末までとされ、この日をもって東海道新幹線から回数券は完全に姿を消すことになりました。約半世紀にわたって日本のビジネス交通を支えてきた「新幹線回数券」の歴史が、ここに幕を閉じたのです。
なぜ新幹線回数券は廃止されたのか
新幹線回数券の廃止には複数の理由がありますが、最も大きな要因はオンライン予約サービスの普及です。スマートEXやエクスプレス予約(東海道・山陽新幹線)、えきねっと(JR東日本)などのサービスが充実し、回数券と同等以上の割引がオンラインで手軽に受けられるようになったことで、紙の回数券の存在意義が薄れました。たとえばエクスプレス予約の場合、東京〜新大阪間ののぞみ指定席が約13,620円で利用でき、かつての回数券1枚あたりの約13,940円よりもさらに安い水準です。JR各社としては、オンライン予約への移行を促進し、紙のきっぷの発行コストや窓口業務の負担を削減したいという経営的な狙いもあります。また、新型コロナウイルスの影響でビジネス出張が減少し、回数券の需要自体が大幅に落ち込んだことも廃止を後押ししました。
回数券廃止がもたらした社会的影響
新幹線回数券の廃止は、鉄道利用者だけでなく金券ショップ業界にも甚大な影響を与えました。金券ショップにとって新幹線回数券のバラ売りは最も収益性の高い商材の一つであり、店舗によっては売上の3〜4割を占めていたとも言われています。回数券の廃止に伴い、特に新幹線の主要駅周辺の金券ショップでは閉店や支店の統廃合が相次ぎました。関西圏を中心に、大手チェーンの甲南チケットや大黒屋などでも店舗網の見直しが進んでいます。一方で、JR各社のオンライン予約に移行できないデジタル弱者(高齢者やスマートフォンを持たない方)にとっては、金券ショップで1枚単位で割引きっぷを購入できるという利便性が失われたことも問題として指摘されています。
新幹線回数券の歴史は1960年代後半にまで遡ります。東海道新幹線の開業(1964年)後、ビジネス利用の増加に伴い回数券が導入されました。当初は「こだま」号の自由席用が中心でしたが、その後「ひかり」や「のぞみ」にも対応する指定席用、グリーン車用へと種類が拡大していきました。約半世紀にわたって日本のビジネス出張を支えてきた回数券は、デジタル化の波の中でその役目を終えたのです。
かつての新幹線回数券はどんなきっぷだったのか
6枚綴り・有効期限3ヶ月が基本
すでに廃止された新幹線回数券ですが、「そもそもどんなきっぷだったのか」を知らない方も増えています。新幹線回数券の基本仕様は6枚1セット(6枚綴り)で、有効期限は購入日から3ヶ月間でした。1枚ずつバラバラに使えるため、1人で6回の往復に使うことはもちろん、家族や同僚と分けて使うことも可能でした。この「バラ売り」が可能な点が金券ショップのビジネスモデルを支えていた最大のポイントで、企業が回数券を購入して未使用分を金券ショップに売却したり、金券ショップが大量に仕入れてバラ売りしたりする市場が形成されていました。きっぷの券面には乗車区間と列車の種別(のぞみ・ひかり・こだまなど)が印刷されており、利用時にはみどりの窓口や指定席券売機で日時と座席の指定を受ける仕組みでした。
3つの種類があった回数券
🔵 普通車指定席用
のぞみ・ひかり・こだまの普通車指定席に乗車可能。6枚綴りで割引率は約5〜6%。東京〜新大阪間で1枚あたり約13,940円(正規料金14,720円)。最も需要が多かった種類。
🟢 普通車自由席用
のぞみ・ひかり・こだまの普通車自由席に乗車可能。短・中距離区間に設定。6枚綴りで割引率は約7〜8%。指定席用より割引率が高かった。
🟡 グリーン車用
こだまのグリーン車に乗車可能な「フレックス用こだま号グリーン回数券」は4枚綴り。普通車指定席料金+500円でグリーン車に乗れるお得なきっぷだった。
このように回数券は利用目的に応じて複数の種類が用意されており、ビジネスパーソンの出張スタイルに合わせて選べる柔軟性がありました。特にグリーン車用の回数券はコストパフォーマンスが非常に高く、「こだまに乗ってでもグリーン車で快適に移動したい」というニーズを巧みに拾い上げた商品でした。
回数券の割引率と正規料金との比較
| 区間 | 正規料金(のぞみ指定席) | 回数券1枚あたり | 割引額 |
|---|---|---|---|
| 東京〜新大阪 | 14,720円 | 約13,940円 | 約780円お得 |
| 東京〜名古屋 | 11,300円 | 約10,700円 | 約600円お得 |
| 東京〜京都 | 14,170円 | 約13,430円 | 約740円お得 |
この表を見ると、回数券の割引額は1回あたり約600〜800円程度と、実はそこまで大きくなかったことがわかります。現在のオンライン予約サービスを使えば、これ以上の割引が手軽に受けられるため、割引の観点だけを見れば回数券がなくなっても「損」ではないと言えます。
回数券の利用制限と使いにくかった点
新幹線回数券にはいくつかの利用制限がありました。最も大きな制限は繁忙期(年末年始・ゴールデンウィーク・お盆)に使えないという点です。最も移動需要が高い時期に使えないため、「一番使いたいときに使えない」という不満の声は常にありました。また、回数券は区間が固定されているため、「東京〜新大阪」の回数券を持っていても「東京〜京都」で降りることはできず、柔軟性に欠けるという問題もありました。さらに、6枚セットでしか購入できないため、初期投資が8万円以上と高額になる点も個人利用者にはハードルでした。有効期限が3ヶ月と限られているため、使い切れなかった分は無駄になるリスクもあります。こうした使いにくさは、オンライン予約サービスでは解消されており、1回ずつの利用で割引が受けられ、繁忙期でも利用可能なサービスが増えています。
回数券の代わりに使える現在の割引サービス

エクスプレス予約が回数券の最強の代替手段
新幹線回数券の代替として最も推奨されるのが、JR東海のエクスプレス予約です。年会費1,100円(税込)がかかりますが、東京〜新大阪間ののぞみ指定席が約13,620円で利用できます。これはかつての回数券1枚あたり(約13,940円)よりもさらに約320円安い水準です。つまり、エクスプレス予約は回数券以上の割引を提供しつつ、1回から利用可能、繁忙期も利用可能、発車4分前まで予約変更無料、というメリットまで備えています。さらに「EX早特」シリーズを利用すれば、21日前の予約で東京〜新大阪間が12,000円台まで下がることもあり、回数券時代には考えられなかった割引率です。年に2回以上東海道新幹線を利用する方なら、年会費1,100円は余裕で元が取れる計算になります。月に1回以上利用するヘビーユーザーにとっては、エクスプレス予約は必須のサービスと言えるでしょう。
スマートEXは年会費無料で手軽に割引
「年会費を払いたくない」「たまにしか新幹線に乗らない」という方には、スマートEXがおすすめです。年会費無料で、クレジットカードと交通系ICカードを登録するだけで利用開始できます。割引額はエクスプレス予約ほど大きくなく、東京〜新大阪間で約200円引き程度ですが、窓口に並ぶ必要がなく、スマートフォンから24時間いつでも予約・変更ができる利便性は回数券時代にはなかったメリットです。スマートEXの最大の強みはその手軽さで、会員登録から最初の予約まで10分もかからずに完了します。チケットレスサービスに対応しているため、紙のきっぷを持ち歩く必要もありません。「回数券の代わりに何か割引が欲しいけれど、複雑なサービスは避けたい」という方に最適な選択肢です。また、スマートEXでも「EX早特」は利用可能なため、早期予約を心がければ回数券以上のお得感を得られます。
えきねっとトクだ値で最大50%OFF
JR東日本が運営するえきねっとでは、東北・上越・北陸新幹線を対象とした「トクだ値」シリーズの割引きっぷが回数券の代替として機能しています。割引率が非常に大きいのが特徴で、最大50%OFFになる「トクだ値スペシャル21」(21日前までの予約限定)は、かつての回数券(5〜8%割引)とは比較にならないほどお得です。「トクだ値1」(前日までの予約)でも約5〜15%の割引が適用され、回数券と同程度かそれ以上の割引が1回の利用から受けられます。2024年からは商品名が「トクだ値1」「トクだ値14」「トクだ値スペシャル21」と数字が申込期限日を示す名称に変更され、よりわかりやすくなりました。えきねっとの会員登録は無料で、クレジットカードがあれば誰でも利用可能です。東北・上越・北陸方面を頻繁に利用する方にとっては、かつての回数券よりも圧倒的にお得な選択肢となっています。
e5489のWEB早特(JR西日本エリア)
山陽新幹線や九州新幹線を利用する場合は、JR西日本の予約サービスe5489の「WEB早特」シリーズが回数券の代替となります。山陽新幹線(新大阪〜博多間)では「スーパー早特きっぷ」や「WEB早特1」など、早期予約で大幅な割引が受けられるきっぷが充実しています。特に「スーパー早特きっぷ」は14日前までの予約で約30%近い割引が適用される路線もあり、回数券を大幅に上回るお得感です。e5489は会員登録なしでも利用でき、JR西日本だけでなくJR四国やJR九州の一部路線も予約可能なため、西日本エリアを幅広くカバーしています。北陸新幹線の金沢〜敦賀方面でも「WEB早特1」が利用でき、前日までの予約で割引が受けられます。
⭐ 回数券 vs 現在の割引サービス比較(東京〜新大阪 のぞみ指定席)
正規料金:14,720円(通常期)
旧・回数券(1枚あたり):約13,940円(約780円割引)※廃止済み
エクスプレス予約:約13,620円(約1,100円割引)
EX早特21:約12,000円台(約2,500円以上割引)
→ 現在のオンラインサービスの方が回数券よりお得
金券ショップはどうなった?回数券廃止後の現在
新幹線回数券のバラ売りが金券ショップの稼ぎ頭だった
東京駅や新大阪駅の周辺、あるいはターミナル駅の地下街などで見かける金券ショップ。かつてはその店頭に「東京→新大阪 13,500円」といった価格が大きく掲示され、正規料金より安く新幹線に乗れることを知った出張サラリーマンが列をなしていました。金券ショップのビジネスモデルは、企業や個人が余った回数券を買い取り、定価より少し安い価格で1枚ずつバラ売りするというシンプルなものです。新幹線回数券は金券ショップの売上の3〜4割を占める主力商材であり、回数券の廃止はまさに「看板商材の消滅」を意味しました。特に東海道新幹線の沿線(東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪)周辺の金券ショップは深刻な打撃を受け、店舗の閉鎖や統廃合が相次いでいます。
回数券廃止後の金券ショップの生き残り戦略
新幹線回数券という最大の商材を失った金券ショップですが、すべてが廃業したわけではありません。各社はさまざまな生き残り戦略を模索しています。一つは株主優待券の取り扱い強化です。JR各社の株主優待券は、新幹線を含むJR全線のきっぷが割引になるもので、回数券に代わる割引手段として需要があります。たとえばJR東海の株主優待券は、JR東海の営業路線のきっぷが1枚あたり10%割引になるため、これを金券ショップで購入してから窓口できっぷを買うことで、正規料金より安く新幹線に乗ることができます。また、商品券やギフト券、テーマパークのチケット、映画のチケットなど、新幹線以外の商材への多角化を進めている店舗も増えています。さらに、旅行会社が販売するJRセットプラン(新幹線+ホテルのパック商品)の取り扱いを開始するなど、新たなビジネスモデルを構築する動きも見られます。
今でも金券ショップで買える新幹線関連の格安チケット
回数券は廃止されましたが、金券ショップでは今でもいくつかの新幹線関連の格安チケットを取り扱っています。最も代表的なのが先述のJR各社の株主優待券で、JR東海の株主優待券は1枚あたり数百円〜1,000円程度で販売されています。10%割引が適用されるため、東京〜新大阪間(14,720円)であれば約1,470円の割引になり、株主優待券の購入価格を差し引いても数百円の節約が可能です。JR西日本の株主優待券は50%割引という高い割引率ですが、その分金券ショップでの販売価格も高めです。ただし、これらの方法はオンライン予約の手軽さと比べると手間がかかるため、「少しでも安くしたいが、オンラインサービスが苦手」という方向けの選択肢と言えるでしょう。
デジタル弱者にとっての回数券廃止の影響
新幹線回数券の廃止で最も影響を受けたのは、オンライン予約サービスを利用できない「デジタル弱者」の方々です。高齢者やスマートフォンを持たない方にとっては、金券ショップで1枚ずつ割引きっぷを購入するのが最も手軽な割引手段でした。回数券の廃止後、こうした方々が割引を受けるには、駅の窓口で株主優待券を使うか、旅行会社のパック商品を利用するか、家族や知人にオンライン予約を代行してもらうか、といった方法に限られてきます。JR各社はこの問題に対して、「話せる指定席券売機」の設置拡大や、指定席券売機の操作の簡素化などで対応を進めていますが、対面の有人サービスに慣れた利用者にとっては、依然としてハードルが高いのが実情です。鉄道のデジタル化の恩恵がすべての利用者に等しく行き渡るまでには、まだ時間がかかりそうです。
ビジネスパーソンのための新幹線節約術
出張頻度別おすすめの割引方法
月1回以上の出張
エクスプレス予約(年1,100円)で毎回約1,100円以上の割引。年会費は1回で回収。
年2〜5回の利用
スマートEX(無料)+EX早特で十分お得。早期予約が鍵。
年1回程度
スマートEX(無料)で200円割引。旅行パックも検討の価値あり。
かつての回数券は6枚セットで購入する必要があったため、年に6回以上利用する方でなければ使い切れないリスクがありました。現在の割引サービスは1回から利用可能なため、利用頻度に関係なく最適な割引を受けられるようになっています。
法人向けの割引サービス
企業の出張で新幹線を頻繁に利用する場合は、法人向けの割引サービスも検討する価値があります。エクスプレス予約の法人向けプラン「エクスプレス予約 法人プログラム」では、社員の新幹線利用を一括管理でき、利用実績に応じた割引が適用されます。また、JR東海ツアーズなどが提供する法人向け出張パックでは、新幹線+ホテルのセット料金が正規のきっぷを別々に購入するよりも大幅に安くなることがあります。東京〜新大阪間の場合、出張パックなら片道あたり実質10,000円台前半で新幹線とホテルがセットになることもあり、回数券時代の割引を大きく上回るお得感です。出張の多い企業にとっては、これらのサービスを社内制度として導入することで、出張コストの大幅な削減が期待できます。
新幹線+ホテルのパック商品が最安になるケース
意外と知られていないのが、「新幹線+ホテル」のパック商品が単独の新幹線きっぷよりも安くなるケースがあるということです。JR東海ツアーズの「ぷらっとこだま」や、JTB・日本旅行などの旅行会社が販売する「JRセットプラン」では、新幹線の往復きっぷとホテル1泊がセットになった商品を販売しています。たとえば東京〜新大阪間の場合、のぞみ指定席の往復(正規料金で約29,440円)にホテル1泊を加えると合計で35,000円を超えますが、パック商品なら25,000〜30,000円程度で利用できることもあります。宿泊を伴う出張や旅行であれば、回数券を使っていた時代よりもさらにお得に移動できる可能性があるのです。特に「ぷらっとこだま」は、こだま号限定ですが片道約10,000円〜11,000円で東京〜新大阪間を移動でき、回数券のどの種類よりも安い水準です。
JREポイントやEXポイントを活用した実質割引
回数券に代わる割引手段として見落としがちなのが、ポイントサービスの活用です。JR東日本のJREポイントは、Suicaの利用やクレジットカード決済で貯まり、一定のポイントを使って新幹線のきっぷに交換できます。えきねっとで購入すると自動的にポイントが貯まるため、利用するたびに実質的な割引を受けていることになります。一方、エクスプレス予約には「グリーンプログラム」というサービスがあり、利用回数に応じてポイントが貯まり、一定ポイントでグリーン車にアップグレードできます。東京〜新大阪間を片道利用すると90ポイントが付与され、1,000ポイントでグリーン車にアップグレード可能です。約11回の利用で1回グリーン車に乗れる計算で、頻繁に利用するビジネスパーソンにとっては大きなメリットです。
回数券廃止に関するよくある質問

Q. 新幹線の回数券はもう一切買えませんか?
Q. 金券ショップで新幹線のきっぷは今も買えますか?
Q. 回数券がなくなって、一番お得な方法は何ですか?
Q. スマートフォンを持っていないのですが、割引は受けられますか?
回数券の歴史|日本の鉄道割引制度はこうして変わった
明治時代に始まった日本初の鉄道回数券
日本の鉄道における回数券の歴史は、明治時代にまで遡ります。日本初の鉄道回数券は、明治後期に官営鉄道(現在のJRの前身)が通勤・通学者向けに導入した「回数乗車券」が始まりとされています。当時は11枚綴りで10枚分の料金という形式が一般的で、1回あたり約9%の割引になる計算でした。この「11枚綴り」は在来線の普通回数券として令和の時代まで続いた伝統的な形式であり、日本の回数券の原型と言えます。鉄道の発展とともに、回数券は日本人の通勤・通学文化を根底から支える存在になっていきました。昭和の高度経済成長期には、通勤定期券と並んで回数券が日本の鉄道経営を支える重要な収入源となり、各鉄道会社はさまざまな種類の回数券を競って発売するようになりました。
新幹線回数券の登場と「出張文化」の形成
新幹線の回数券が登場したのは、東海道新幹線の開業(1964年)からしばらく経った1960年代後半のことです。当初は「こだま」号の自由席用が中心でしたが、ビジネス利用の急増に伴い、「ひかり」号対応の指定席用へと種類が拡大していきました。この新幹線回数券の存在が、日本独特の「日帰り出張文化」の形成に一役買ったとも言われています。東京〜名古屋間や東京〜大阪間を日帰りで往復するビジネススタイルが定着したのは、新幹線の高速性とともに回数券による経費削減効果が大きかったのです。企業の経理部門にとって、回数券はまとめ買いによるコスト削減が明確で、出張旅費の管理もしやすいという利点がありました。1992年に「のぞみ」号が登場すると、のぞみ対応の回数券も追加され、新幹線回数券のラインナップは最盛期を迎えました。
ICカードとオンライン予約の台頭で変わった鉄道割引の常識
鉄道の割引制度が大きく変化する転機となったのは、2000年代のICカードの普及です。2001年にJR東日本がSuicaを導入したのを皮切りに、ICOCAやTOICA、PASMOなど各地のICカードが次々と登場し、紙のきっぷを使う機会自体が減少しました。さらに2008年にはJR東海がエクスプレス予約のサービスを拡充し、ICカードで新幹線の改札を通過できる「EX-ICサービス」を開始。これにより、回数券をみどりの窓口で引き換えるという手間が不要になり、オンライン予約の利便性が回数券を大きく上回るようになりました。JR東日本の「えきねっと」も同時期にサービスを強化し、在来線を含む幅広い路線でオンライン割引を提供するようになります。紙の回数券は、こうしたデジタル化の波に徐々に押されていき、最終的に廃止という結末を迎えたのです。
在来線の回数券も次々と廃止|「回数券のない時代」の到来
新幹線回数券の廃止は、鉄道業界全体の大きなトレンドの一部にすぎません。JR各社だけでなく、私鉄各社でも在来線の普通回数券の廃止が相次いでいます。JR東日本は2022年9月に普通回数乗車券の販売を終了し、JR西日本も2024年9月に昼間特割きっぷなどの回数券タイプの割引きっぷを廃止しました。関東の私鉄では、小田急電鉄や東急電鉄、京王電鉄なども回数券を次々と廃止しています。その背景には、ICカードの利用率が90%を超える路線が増え、紙の回数券を購入する利用者が急激に減少しているという現実があります。各鉄道会社はICカードのポイント還元(JREポイントなど)を回数券の代替として位置づけており、「きっぷを買う」という行為自体が過去のものになりつつあるのです。
回数券の「回数」という言葉は、「何回も乗る」という意味から来ています。英語では「coupon ticket」や「multi-ride ticket」と呼ばれますが、日本語の「回数券」という呼称は明治時代から変わっていません。約130年の歴史を持つこの言葉も、回数券の廃止とともに日常会話から消えていくかもしれません。
海外の高速鉄道にも回数券はあるのか
フランスTGVの「カルト」制度
海外の高速鉄道事情を見ると、日本の回数券に相当する制度は形を変えて存在しています。フランスの高速鉄道TGV(現在はinOuiブランド)では、回数券ではなく「カルト(Carte)」と呼ばれる割引カードの制度が充実しています。たとえば「Carte Avantage」(年間約49ユーロ)を購入すると、TGVの料金が最大30%割引になります。これは日本のエクスプレス予約に近い仕組みで、年会費を払って都度割引を受けるモデルです。また、SNCFは「Ouigo」という格安高速鉄道サービスも運行しており、事前予約で10ユーロ(約1,600円)からパリ〜リヨン間(約2時間)のチケットが購入可能です。日本の新幹線と比較すると驚異的な安さですが、座席指定のみ・荷物制限あり・停車駅が郊外といった制約があります。
ドイツICEとイギリスの鉄道パス
ドイツの高速鉄道ICEでは、「BahnCard」という割引カードが回数券に代わる制度として定着しています。BahnCard 25(年間約59.90ユーロ)で全路線25%割引、BahnCard 50(年間約244ユーロ)で50%割引が適用されます。さらにBahnCard 100(年間約4,550ユーロ)を購入すれば、ドイツ国内の鉄道が1年間乗り放題になるという大胆なプランも存在します。一方、イギリスでは「Railcard」制度があり、26〜30歳向けの「26-30 Railcard」や家族向けの「Family & Friends Railcard」など年齢やライフスタイルに応じた割引カードが用意されています。いずれも年間30ポンド程度で1/3割引が適用される仕組みです。このように海外では「回数券」という固定枚数の割引きっぷよりも、年間パスや割引カードによる「都度割引」の方が主流であり、日本の新幹線もこの世界的なトレンドに合流したと見ることができます。
台湾高速鉄道と韓国KTXの割引制度
日本と同じアジアの高速鉄道に目を向けると、台湾高速鉄道(台湾新幹線)では「回数券」に近い制度が存在していました。かつては8枚綴りの回数券が販売されており、約10%の割引が受けられましたが、こちらも近年はオンライン予約への移行が進んでいます。現在は「早鳥(Early Bird)優待」として28日前までの予約で最大35%OFFになるオンライン割引が主力商品となっています。韓国の高速鉄道KTXでも、かつては回数券が存在しましたが、現在はコレイル(韓国鉄道公社)の会員サービス「KTXマイレージ」に移行しています。利用距離に応じてポイントが貯まり、無料乗車券に交換できる仕組みは、JRのポイントサービスと似た発想です。世界的に見ても、紙の回数券からデジタルベースの割引制度への移行は不可逆的な流れと言えるでしょう。
日本の新幹線は世界の鉄道割引トレンドに合流した
こうして海外の事例を俯瞰すると、日本の新幹線回数券の廃止は「日本だけの特殊な出来事」ではなく、世界的な鉄道割引制度のデジタル化の一環であることがわかります。紙の回数券という固定的な割引から、オンライン予約による変動型の割引(ダイナミックプライシング)へという流れは、航空業界ではすでに数十年前から当たり前になっていたものです。鉄道業界はその変化がやや遅れましたが、日本でもようやくこの世界標準に追いついたと言えるでしょう。ただし、日本の特徴は「変化が急激だった」点にあります。海外では長年かけて段階的にデジタル移行が進みましたが、日本ではコロナ禍をきっかけに一気に回数券の廃止が加速しました。この急激な変化が、金券ショップの衰退やデジタル弱者の問題など、さまざまな副作用をもたらしたことも忘れてはなりません。
まとめ
📌 新幹線回数券のポイント総まとめ
✓ 新幹線回数券はすべて廃止(指定席:2022年3月、自由席:2024年12月販売終了)
✓ 廃止の主な理由はオンライン予約サービスの普及とコロナ禍による需要減
✓ 回数券は6枚綴り・有効期限3ヶ月で、割引率は約5〜8%だった
✓ エクスプレス予約なら回数券よりさらに安い(東京〜新大阪 約13,620円)
✓ えきねっとの「トクだ値スペシャル21」なら最大50%OFF
✓ 金券ショップでは株主優待券が回数券に代わる割引手段
✓ 宿泊を伴う場合は新幹線+ホテルのパックが最安になることも
新幹線回数券は約半世紀にわたって日本のビジネス交通を支えてきましたが、デジタル化の波の中でその役目を終えました。しかし、振り返ってみれば、回数券の割引率は5〜8%程度と決して大きくなく、現在のオンライン予約サービスはそれを上回る割引を、より便利な形で提供しています。
特に知っておいていただきたいのは、エクスプレス予約の「1回あたりの割引額がかつての回数券を超えている」という事実と、えきねっとの「トクだ値」シリーズが最大50%OFFという驚異的な割引率を実現していることです。回数券の廃止は一見マイナスに思えますが、実は利用者にとってはより多くの選択肢とより大きな割引が手に入る時代になったとも言えるのです。
次に新幹線を利用する際は、かつての回数券のことは忘れて、ぜひオンライン予約サービスを試してみてください。きっと「回数券より安い!」と驚くはずです。

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