山陽新幹線にはどんな駅があるのでしょうか?新大阪から博多まで西日本の大動脈として走る山陽新幹線には、全部で19の停車駅が設けられています。しかし、すべての列車がすべての駅に停まるわけではありません。のぞみは19駅中わずか6駅にしか停車しないのに対し、こだまは全19駅に各駅停車する——実は列車の種類によって、停車パターンが大きく異なるのです。
✅ この記事でわかること
✓ 山陽新幹線の全19駅一覧と各駅の読み方・特徴
✓ のぞみ・ひかり・こだま・みずほ・さくらの停車パターンの違い
✓ 山陽新幹線がこのルートになった歴史的経緯
✓ 停車駅にまつわるトリビア・豆知識
実は山陽新幹線には「新」が付く駅名が8駅もあったり、トンネル比率が約50%という驚きの数字があったりと、知れば知るほど面白い路線です。この記事では、全19駅の基本情報から列車ごとの停車パターン、建設の歴史、トリビアまで徹底解説します。
山陽新幹線の停車駅は全部で19駅!基本情報と全駅一覧

山陽新幹線は、新大阪駅から博多駅までを結ぶJR西日本の高速鉄道路線です。営業距離は553.7kmにもおよび、大阪府・兵庫県・岡山県・広島県・山口県・福岡県の1府5県を貫いています。この路線には合計19の停車駅が設けられており、平均駅間距離はおおむね約30kmです。ただし、駅間距離には大きな差があり、最も短い区間と最も長い区間では倍以上の違いがあります。山陽新幹線は東海道新幹線と直通運転を行っており、東京から博多まで乗り換えなしで移動できるのが大きな特徴です。
山陽新幹線とは?路線の基本をおさらい
山陽新幹線は、1972年に新大阪〜岡山間が最初に開業し、1975年に岡山〜博多間が延伸されて全線開業しました。運営はJR西日本が担当しており、列車の種類は「のぞみ」「ひかり」「こだま」「みずほ」「さくら」の5種類が運行されています。最高速度は300km/hで、のぞみやみずほを利用すれば新大阪〜博多間を約2時間22分〜2時間30分で結びます。東海道新幹線(JR東海管轄)との境界駅は新大阪駅ですが、実際の運転系統としては東京駅まで直通しているため、乗客が境界を意識することはほとんどありません。
「山陽」という名称は、中国山地の南側(太陽が当たる側)を意味します。対義語は「山陰」で、中国山地の北側を指します。この名称は古代の行政区分「山陽道」に由来しており、現在の兵庫県西部から山口県にかけてのエリアを表しています。
全19駅の駅名一覧と読み方
山陽新幹線の全19駅を新大阪側から順に並べると、新大阪(しんおおさか)・新神戸(しんこうべ)・西明石(にしあかし)・姫路(ひめじ)・相生(あいおい)・岡山(おかやま)・新倉敷(しんくらしき)・福山(ふくやま)・新尾道(しんおのみち)・三原(みはら)・東広島(ひがしひろしま)・広島(ひろしま)・新岩国(しんいわくに)・徳山(とくやま)・新山口(しんやまぐち)・厚狭(あさ)・新下関(しんしものせき)・小倉(こくら)・博多(はかた)となっています。注意したいのは「厚狭」の読み方で、「あつさ」ではなく「あさ」と読みます。また「小倉」も「おぐら」ではなく「こくら」です。
| 番号 | 駅名 | 読み方 | 所在地 |
|---|---|---|---|
| 1 | 新大阪 | しんおおさか | 大阪府大阪市 |
| 2 | 新神戸 | しんこうべ | 兵庫県神戸市 |
| 3 | 西明石 | にしあかし | 兵庫県明石市 |
| 4 | 姫路 | ひめじ | 兵庫県姫路市 |
| 5 | 相生 | あいおい | 兵庫県相生市 |
| 6 | 岡山 | おかやま | 岡山県岡山市 |
| 7 | 新倉敷 | しんくらしき | 岡山県倉敷市 |
| 8 | 福山 | ふくやま | 広島県福山市 |
| 9 | 新尾道 | しんおのみち | 広島県尾道市 |
| 10 | 三原 | みはら | 広島県三原市 |
| 11 | 東広島 | ひがしひろしま | 広島県東広島市 |
| 12 | 広島 | ひろしま | 広島県広島市 |
| 13 | 新岩国 | しんいわくに | 山口県岩国市 |
| 14 | 徳山 | とくやま | 山口県周南市 |
| 15 | 新山口 | しんやまぐち | 山口県山口市 |
| 16 | 厚狭 | あさ | 山口県山陽小野田市 |
| 17 | 新下関 | しんしものせき | 山口県下関市 |
| 18 | 小倉 | こくら | 福岡県北九州市 |
| 19 | 博多 | はかた | 福岡県福岡市 |
「新」が付く駅名が多い理由とは
山陽新幹線の19駅を眺めてみると、「新」の文字が付く駅が8駅もあることに気づきます。新大阪・新神戸・新倉敷・新尾道・新岩国・新山口・新下関、そして実は「新幹線の新」ではなく地名としての「新」ではないかと思われがちですが、これらはすべて既存の在来線駅と区別するために「新」を冠した駅名です。新幹線の駅は高速走行のために直線的なルートが求められるため、必ずしも在来線の主要駅と同じ場所に建設できません。そのため、既存の市街地から離れた場所に駅を設け、区別のために「新」を付けたのです。新山口駅はかつて「小郡(おごおり)駅」という名称でしたが、2003年に「新山口」に改称されました。県庁所在地の山口市の玄関口であることをわかりやすくする目的があったと言われています。
各駅の所在県と在来線との接続
山陽新幹線の停車駅は、兵庫県に4駅(新神戸・西明石・姫路・相生)と最も多く、次いで広島県に5駅(福山・新尾道・三原・東広島・広島)、山口県に5駅(新岩国・徳山・新山口・厚狭・新下関)が続きます。大阪府と岡山県は各2駅、福岡県は2駅です。在来線との接続については、新大阪・姫路・岡山・福山・広島・小倉・博多などの主要駅はJRの在来線や私鉄との乗り換えが便利です。一方、新神戸駅は在来線のホームがなく、地下鉄のみ接続しているという珍しい特徴があります。新尾道駅や東広島駅も市街地中心部からやや離れており、バスやタクシーでのアクセスが必要になります。
開業当初からある駅と後から追加された3駅
山陽新幹線は当初16駅で開業しました。その後、1988年に新尾道駅と東広島駅が「請願駅」として追加開業し、さらに1999年に厚狭駅が開業して現在の19駅体制が完成しています。「請願駅」とは、地元自治体が建設費を負担して設置を要望した駅のことです。新尾道駅は尾道市、東広島駅は東広島市(旧・西条町)がそれぞれ建設費を負担しました。これらの駅はのぞみやみずほが停車しないため、利用者数は主要駅に比べると少ないのが現状です。しかし、地元住民にとっては大阪や東京方面への重要なアクセス手段となっています。厚狭駅は山陽小野田市に位置し、美祢線との乗り換え駅としての役割も果たしています。
のぞみ号の停車駅パターンを詳しく解説

のぞみの基本停車駅はわずか6駅
山陽新幹線区間における「のぞみ」の基本停車駅は、新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉・博多のわずか6駅です。19駅中13駅を通過するという大胆な運行パターンが、のぞみの最大の特徴です。この6駅は、いずれも政令指定都市または県庁所在地の玄関口にあたり、ビジネスや観光の需要が特に高い駅ばかりです。のぞみを利用すれば新大阪〜博多間を約2時間28分で移動でき、航空機と比較しても十分に競争力のある所要時間です。東京から博多までの直通で利用する場合は約5時間で、新幹線の中でも最も長距離を走る列車のひとつです。
📌 のぞみ号の山陽新幹線区間 基本停車駅
新大阪 → 新神戸 → 岡山 → 広島 → 小倉 → 博多
(所要時間:約2時間28分)
臨時停車や追加停車のパターン
のぞみの基本停車駅は6駅ですが、実はすべてのぞみが同じ停車パターンとは限りません。一部の列車では、姫路駅や福山駅、徳山駅、新山口駅に追加で停車するケースがあります。特に姫路駅と福山駅は、のぞみが臨時停車する頻度が高い駅として知られています。姫路は世界遺産の姫路城への観光需要があり、福山は広島県東部の経済圏の中心都市としてビジネス利用が多いためです。また、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの繁忙期には、臨時のぞみが増発され、通常は通過する駅にも停車することがあります。時刻表で「のぞみ」と書かれていても、号数によって停車駅が異なるので注意が必要です。
なぜ「のぞみ」は停車駅を絞るのか?速達性の秘密
のぞみが停車駅をわずか6駅に絞っているのは、「速達性」を最優先する設計思想があるからです。新幹線は1駅停車するごとに、減速・停車・乗降・加速で約5〜7分のロスが生じます。仮にすべての駅に停車すると、新大阪〜博多間の所要時間は4時間以上にもなってしまいます。のぞみが登場した1992年当時、東京〜博多間の航空機との競争が激化しており、いかに所要時間を短縮するかが最大の課題でした。停車駅を厳選することで「新幹線でも飛行機並みのスピード感」を実現し、ビジネス客を中心に圧倒的な支持を得ることに成功しています。ちなみに「のぞみ」の名称は、公募によって選ばれたもので、「希望」を意味します。
のぞみが登場する前、山陽新幹線の最速列車は「ひかり」でした。しかし、当初のぞみには自由席がなく全席指定だったため、「自由席で気軽に乗れない」と批判の声もありました。現在は自由席も設けられ、利便性が向上しています。
のぞみに通過される駅の利用者の工夫
のぞみが停車しない駅の利用者は、いくつかの方法で目的地にアクセスしています。最も一般的なのは、岡山や広島などの主要駅でのぞみからこだまに乗り換える方法です。たとえば、東京から新尾道に行きたい場合は、のぞみで岡山まで行き、そこからこだまに乗り換えるのが定番ルートです。また、ひかり号を利用する方法もあります。ひかり号はのぞみより停車駅が多いため、姫路や福山など中規模都市にも停車します。さらに、JR西日本が販売する「バリ得こだま」などの割引切符を利用すれば、こだまの各駅停車でもお得に移動できます。時間はかかりますが、料金を大幅に節約できるため、観光客を中心に人気があります。
ひかり号・こだま号の停車駅はどう違う?

ひかり号は「中間的存在」の停車パターン
山陽新幹線のひかり号は、のぞみとこだまの中間的な停車パターンを持つ列車です。のぞみの基本6駅に加えて、姫路・福山・徳山・新山口などにも停車するケースが多く見られます。ただし、ひかりは便ごとに停車駅が異なるため、「すべてのひかりが同じ駅に停まるわけではない」という点に注意が必要です。山陽新幹線区間のひかりは本数が少なく、東海道新幹線区間と比べると影が薄い存在と言えます。しかし、のぞみが通過する中規模都市への移動手段として、ビジネス客や地元住民にとっては欠かせない列車です。ひかり号の名称は「光」に由来し、1964年の東海道新幹線開業当初から使用されている歴史ある名前です。
こだま号は全駅停車の各駅停車タイプ
こだま号は山陽新幹線の全19駅に停車する各駅停車タイプの列車です。新大阪〜博多間の所要時間は約4時間10分〜5時間20分と、のぞみの約2倍かかりますが、途中のすべての駅で乗り降りできる唯一の列車です。こだまは特に、新尾道・東広島・厚狭などのぞみやひかりが停車しない駅へのアクセス手段として重要な役割を担っています。また、こだまは停車駅が多い分、各駅でのホーム売店や地元の駅弁を楽しむ「のんびり旅」にも向いています。名称は「木霊(こだま)」に由来し、山々にこだまする音のイメージから名付けられました。1958年の国鉄特急時代からの由緒ある名前です。
こだまの「待避」とは?所要時間が長くなる理由
こだまの所要時間がのぞみの約2倍もかかる理由は、単に停車駅が多いだけではありません。実は最大の要因は「待避(退避)」にあります。待避とは、こだまが途中駅で後続ののぞみやみずほに追い越されるために停車して待つことです。山陽新幹線は基本的に複線(上り・下り各1本の線路)ですが、多くの駅に通過線と待避線が設けられています。こだまは待避線に入り、高速で走り抜けるのぞみを先に通す仕組みです。この待避のために1回あたり5〜10分程度の停車時間が追加されます。1回の運行で何度も待避を行うため、停車駅数以上に所要時間が長くなるのです。
こだまが駅に到着・待避線に入線
後続のぞみ・みずほが本線を通過
こだまが発車・次の駅へ向けて運行再開
ひかり・こだまならではのお得な利用法
のぞみは便利ですが、実は割引切符の多くがのぞみには使えないという制約があります。そのため、ひかりやこだまを賢く使うことで、旅行費用を大幅に抑えることができます。代表的なのが「バリ得こだま」や「こだま指定席きっぷ」(時期により名称変更あり)で、通常のぞみ指定席の約半額で乗車できることもあります。さらに、「青春18きっぷ」との組み合わせは使えませんが、JR西日本の「おとなび」(50歳以上限定)を使えば、こだまがさらにお得になります。時間に余裕がある旅行であれば、こだまで各駅に停まりながらのんびり移動し、浮いた交通費を宿泊やグルメに回すのも賢い選択肢です。
みずほ・さくらの停車駅を比較!九州直通列車の特徴
みずほは山陽新幹線で最速クラスの列車
「みずほ」は2011年の九州新幹線全線開業に合わせて登場した列車で、山陽新幹線区間ではのぞみと同等かそれ以上の速達性を持っています。山陽新幹線区間の基本停車駅は新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉・博多の6駅で、のぞみとほぼ同じです。最速ダイヤでは新大阪〜博多間を約2時間22分で結び、これはのぞみの約2時間28分よりも速い記録です。みずほが速い理由は、停車駅の少なさに加えて、N700系をベースにした専用車両の高い加減速性能にもあります。「みずほ」の名称はかつての寝台特急「みずほ」を引き継いだもので、「瑞穂の国」すなわち日本の美称に由来しています。
さくらの停車パターンとみずほとの違い
「さくら」もみずほと同じく九州新幹線直通の列車ですが、停車駅がみずほより多いのが特徴です。山陽新幹線区間では、基本の6駅に加えて姫路・福山・新山口などにも停車する便があります。便によって停車駅が異なるため、利用前に時刻表で確認することが大切です。みずほが「速さ重視」であるのに対し、さくらは「利便性重視」の位置づけです。山陽新幹線区間だけで見ると、さくらはひかりに近い役割を果たしていると言えます。「さくら」の名称も、かつての寝台特急「さくら」から引き継がれたもので、日本を象徴する花の名前です。みずほ・さくらともに博多から先の九州新幹線区間(熊本・鹿児島中央など)にも直通します。
九州新幹線との直通運転のしくみ
みずほ・さくらは山陽新幹線(JR西日本)と九州新幹線(JR九州)を直通運転する列車です。このような会社をまたいだ直通運転は、技術的にも運営的にもさまざまな調整が必要です。車両はJR西日本のN700系7000番台とJR九州のN700系8000番台が使用されており、どちらの車両も両路線で運行できるよう設計されています。直通運転が実現した背景には、2011年3月12日の九州新幹線全線開業があります。これにより、新大阪から鹿児島中央まで最速3時間42分で結ばれるようになりました。博多駅が両路線の接続点となっており、博多〜新大阪間はJR西日本の管轄、博多〜鹿児島中央間はJR九州の管轄として運行されています。
💡 みずほ・さくらの車内の特徴
みずほ・さくらの指定席は2列+2列の4列シートが基本で、のぞみの指定席(2列+3列の5列シート)と比べて座席がゆったりしているのが大きなメリットです。同じ料金でより快適な座席に座れるため、知る人ぞ知る人気の列車です。
みずほ・さくらとのぞみの料金比較
みずほ・さくらとのぞみの料金は、山陽新幹線区間では基本的に同額です。新大阪〜博多間の場合、のぞみもみずほも指定席で約15,000円前後となっています。ただし、東海道新幹線区間を含む場合は料金体系が異なることがあります。具体的には、東京〜博多間はのぞみの料金が適用されますが、みずほ・さくらは東海道新幹線区間を走らないため、東京発の場合はのぞみを利用する必要があります。一方、九州新幹線区間への乗り通しであれば、みずほ・さくらが圧倒的に便利です。新大阪から熊本まで直通で行けるため、博多での乗り換えが不要になります。EX予約やスマートEXなどのネット予約を活用すると、さらにお得な価格で利用できます。
山陽新幹線はなぜこのルートに?歴史と建設の経緯

東海道新幹線の「西への延伸」として計画
山陽新幹線の構想は、東海道新幹線が開業した1964年よりも前から存在していました。当時の国鉄は、東京〜大阪間の東海道新幹線を第一段階とし、さらに西日本の主要都市を結ぶ路線の延伸を計画していたのです。1965年に「全国新幹線鉄道整備法」の前身となる調査が始まり、新大阪から九州方面への延伸が本格的に動き出しました。ルートの選定にあたっては、瀬戸内海沿いの山陽道ルートと、日本海側の山陰道ルートが検討されましたが、最終的に人口密度が高く経済活動が活発な山陽側が選ばれています。この決定は、戦前から工業地帯として発展していた瀬戸内海沿岸の重要性を反映したものでした。
新大阪〜岡山間の開業(1972年)
山陽新幹線の最初の区間となる新大阪〜岡山間は、1972年(昭和47年)3月15日に開業しました。開業区間の営業距離は約161kmで、途中に新神戸・西明石・姫路・相生の4駅が設置されました。この開業により、新大阪〜岡山間の所要時間が在来線の約2時間30分から約58分に短縮され、大幅な時間短縮が実現しました。開業の翌年には年間旅客数が約3,000万人に達し、予想を上回る利用がありました。また、この区間では当時最新の0系新幹線車両が使用され、最高速度は210km/hでした。新神戸駅は六甲山系のトンネルとトンネルの間に挟まれるように位置しており、独特の構造が話題となりました。
新神戸駅は、前後をトンネルに挟まれた珍しい構造の駅です。ホームの両端がトンネルの入口に直結しているため、在来線の線路を敷くスペースがなく、JR在来線は接続していません。これは山陽新幹線の停車駅の中でも唯一の特徴です。
岡山〜博多間の延伸と住民の反対運動
岡山〜博多間は1975年(昭和50年)3月10日に開業し、山陽新幹線の全線開業が達成されました。しかし、この区間の建設は順調とは言えませんでした。建設工事に対する沿線住民の反対運動が各地で発生したのです。反対の主な理由は、騒音・振動問題と用地買収への不満でした。東海道新幹線の開業後、沿線では新幹線の騒音が深刻な社会問題となっており、山陽新幹線の建設でも同様の懸念が広がりました。これらの反対運動の結果、防音壁の設置やトンネル区間の増加などの対策が講じられました。山陽新幹線のトンネル比率は約50%にも達し、東海道新幹線の約13%と比べて格段に高くなっています。この高いトンネル比率は騒音対策と地形の両方の理由によるものです。
瀬戸内海沿いのルートが選ばれた地理的理由
山陽新幹線が瀬戸内海沿いのルートを通っているのは、単に人口が多いからだけではありません。地形的な理由も大きく関係しています。山陽地方は中国山地と瀬戸内海に挟まれた比較的平坦な回廊地帯であり、新幹線のような高速鉄道の建設に適していました。日本海側の山陰地方は山地が海岸近くまで迫っている地形が多く、トンネルや橋梁の建設コストが膨大になる可能性がありました。また、瀬戸内海沿岸には古くから「山陽道」と呼ばれる交通路が発達しており、沿線には神戸・姫路・岡山・福山・広島・下関・北九州といった主要都市が連なっていることも決め手となりました。この都市の連なりは、新幹線の採算性を確保するうえで極めて重要な要素だったのです。
後から追加された3つの新設駅の経緯
山陽新幹線の19駅のうち、新尾道・東広島・厚狭の3駅は開業後に追加されたいわゆる「請願駅」です。請願駅とは、地元自治体が建設費の全額または大部分を負担して設置を要望する駅のことです。新尾道駅と東広島駅は1988年3月13日に同時開業しました。尾道市は映画のロケ地として有名で、観光振興を目的に駅の設置を要望しました。東広島市は広島大学のキャンパス移転や工業団地の開発に伴い、新幹線駅の必要性が高まっていました。厚狭駅は1999年3月13日に開業した最も新しい駅で、旧・山陽町(現・山陽小野田市)と美祢市方面へのアクセス向上を目的としています。これら3駅の追加により、山陽新幹線はより多くの地域にサービスを提供できるようになりました。
山陽新幹線の主要停車駅の見どころと乗り換え情報
新大阪・新神戸|関西圏のゲートウェイ
新大阪駅は山陽新幹線の起点であり、東海道新幹線との接続駅です。大阪の中心部・梅田(大阪駅)へはJR在来線で約4分、なんば方面へは地下鉄御堂筋線でアクセスできます。大阪を拠点に京都や奈良への観光にも便利な立地です。新神戸駅は神戸市の玄関口で、駅から徒歩圏内に布引ハーブ園や北野異人館街があります。三宮の繁華街へは地下鉄で約2分と近く、神戸牛や南京町の中華街グルメを楽しむにも最適です。新神戸駅の特徴として、駅直結で「布引の滝」へのハイキングコースがある珍しい新幹線駅としても知られています。都会の駅から徒歩数分で滝に到着できるのは全国でもここだけです。
姫路・岡山|山陽地方の中核都市
姫路駅は世界遺産「姫路城」の最寄り駅で、駅前から城までは徒歩約15分の一直線です。姫路城は「白鷺城」の愛称で親しまれ、日本の城郭建築の最高傑作とも称されています。姫路駅は在来線の山陽本線・播但線・姫新線への乗り換え拠点でもあります。岡山駅は山陽新幹線の中でも特に重要な分岐駅です。ここからJR瀬戸大橋線で四国方面(高松・松山)へ、伯備線で山陰方面(米子・出雲市)へとアクセスできます。岡山は「桃太郎の街」として知られ、後楽園や倉敷美観地区への観光拠点としても人気です。四国・山陰方面への乗り換え駅として、のぞみが全便停車する理由のひとつにもなっています。
広島|中国地方最大のターミナル
広島駅は中国地方最大の都市・広島市の玄関口であり、年間の乗降客数は山陽新幹線の停車駅の中でもトップクラスです。駅周辺は大規模な再開発が行われ、駅ビルやペデストリアンデッキが新設されました。広島といえば原爆ドームや平和記念公園が世界的に有名で、海外からの観光客も多く訪れます。また、宮島(厳島神社)へは広島駅からJR山陽本線で宮島口駅まで約30分、そこからフェリーで約10分です。グルメでは広島風お好み焼きや牡蠣料理が名物で、駅周辺には数多くの専門店が立ち並んでいます。広島駅は路面電車(広島電鉄)の起点でもあり、市内観光には路面電車の利用が便利です。
小倉・博多|九州の玄関口
小倉駅は北九州市の中心駅であり、関門海峡を渡って本州から九州に入る最初の新幹線駅です。小倉は北九州工業地帯の中心として栄えた歴史があり、現在はレトロな商店街や小倉城、門司港レトロ地区への観光拠点としても知られています。名物は焼きうどん発祥の地として有名な小倉の焼きうどんや、ぬか漬けの「ぬか炊き」などです。博多駅は山陽新幹線の終点であり、九州新幹線の起点でもあります。九州最大の繁華街・天神へは地下鉄空港線で約5分とアクセス抜群です。博多ラーメンやもつ鍋、水炊きなど全国的に有名なグルメの宝庫であり、太宰府天満宮や柳川など近郊の観光地への拠点としても最適です。
🏯 姫路駅周辺
姫路城まで徒歩15分。世界遺産の白鷺城は必見。姫路おでんや穴子料理も名物。
⛩️ 広島駅周辺
原爆ドーム、宮島へのアクセス拠点。広島風お好み焼きや牡蠣料理が絶品。
山陽新幹線の所要時間と列車別の比較
のぞみ・みずほの所要時間一覧
山陽新幹線の最速列車であるのぞみとみずほの主要区間の所要時間を見てみましょう。新大阪〜博多間はのぞみが約2時間28分、みずほが最速約2時間22分です。途中の主要駅までの所要時間は、新大阪〜新神戸が約13分、新大阪〜岡山が約45分、新大阪〜広島が約1時間22分、新大阪〜小倉が約2時間10分となっています。東京からの通し利用では、東京〜広島が約3時間52分、東京〜博多が約4時間50分です。東京〜博多間は航空機との競合が激しい区間ですが、新幹線は市街地中心部同士を結ぶ利便性や悪天候に強い安定性で一定のシェアを維持しています。
| 区間 | のぞみ | こだま |
|---|---|---|
| 新大阪〜新神戸 | 約13分 | 約13分 |
| 新大阪〜岡山 | 約45分 | 約1時間25分 |
| 新大阪〜広島 | 約1時間22分 | 約3時間10分 |
| 新大阪〜博多 | 約2時間28分 | 約4時間30分 |
こだま・ひかりの所要時間と活用法
こだまで新大阪〜博多間を移動すると、約4時間10分〜5時間20分かかります。この大きな幅は、待避回数の違いによるものです。待避が少ない便を選べば比較的短い時間で到着できますが、待避が多い便では5時間を超えることもあります。ひかりの場合は約3時間〜3時間30分程度ですが、山陽新幹線区間のひかりは本数が限られているため、時刻表の確認が欠かせません。こだまの活用法としておすすめなのが、「区間利用」です。たとえば岡山〜広島間をこだまで移動する場合は約1時間程度で、のぞみとの差は20分ほどです。短距離であればこだまでも時間のロスが少なく、割引切符を使えば大幅にお得になります。
主要駅間の距離と駅間距離の違い
山陽新幹線の全長553.7kmの中で、最も駅間距離が長いのは相生〜岡山間の約55.1kmです。この区間は兵庫県と岡山県の県境をまたぎ、山間部を通過するためトンネルも多くなっています。逆に最も駅間距離が短いのは新下関〜小倉間の約19.3kmで、関門海峡をトンネルで一気にくぐり抜けます。この区間は新関門トンネル(全長約18.7km)をほぼ丸々通過するため、乗客は海底トンネルを通っていることに気づかないこともあります。その他の特徴的な区間としては、新大阪〜新神戸間が約36.9kmで、途中に六甲トンネルという全長約16.2kmの長大トンネルを通過します。駅間距離の違いは、のぞみやこだまの所要時間にも影響を与えています。
新幹線と飛行機の所要時間比較
山陽新幹線の主要区間における新幹線と飛行機の所要時間を比較すると、興味深い結果が見えてきます。東京〜広島間は、のぞみで約3時間52分、飛行機は搭乗時間約1時間20分ですが空港アクセスを含めると約3時間30分〜4時間で、ほぼ互角です。東京〜博多間は、のぞみで約4時間50分、飛行機は搭乗約1時間45分で空港アクセス込み約3時間30分となり、飛行機が有利です。一般的に「4時間の壁」と呼ばれる法則があり、所要時間が4時間を超えると航空機のシェアが急増すると言われています。広島までは新幹線が健闘していますが、博多以西になると航空機の利用が増える傾向にあります。ただし、新幹線は天候に左右されにくい点と本数の多さで根強い需要を維持しています。
山陽新幹線の停車駅にまつわるトリビア・豆知識

利用者数が最も少ない駅と最も多い駅
山陽新幹線の19駅の中で、1日あたりの利用者数が最も多いのは新大阪駅です。東海道新幹線との接続駅であり、大阪・関西圏の玄関口として1日あたり数万人規模の利用があります。一方、利用者数が最も少ないのは厚狭駅と言われています。厚狭駅は1999年に開業した最も新しい請願駅で、周辺人口が少ないこともあり、1日の乗車人数は数百人程度にとどまっています。新尾道駅や東広島駅も同様に利用者が少ない駅として知られています。これらの駅はこだましか停車しないため、のぞみやさくらの利用者からは見過ごされがちですが、地元住民にとっては大切な交通インフラです。利用者数の多い上位5駅は、新大阪・博多・広島・岡山・小倉の順になっています。
山陽新幹線にだけ存在する珍しい特徴
山陽新幹線には、他の新幹線路線にはない珍しい特徴がいくつかあります。まず、トンネル比率が約50%と非常に高いことです。東海道新幹線が約13%であるのに対し、山陽新幹線は半分の区間がトンネルです。これは中国山地の起伏の多い地形と、騒音対策のための設計が理由です。次に、海底トンネルを通過する区間があることです。新下関〜小倉間の「新関門トンネル」は関門海峡の海底を通る新幹線唯一の海底トンネルです。また、在来線が接続していない新幹線駅として新神戸駅があります。新幹線の駅でJR在来線が乗り入れていない駅は全国的にも珍しい存在です。さらに、山陽新幹線はかつて夜行新幹線が検討された路線としても知られています。1970年代に深夜帯に貨物新幹線を走らせる計画がありましたが、実現には至りませんでした。
山陽新幹線の新関門トンネルは、本州と九州を結ぶ海底トンネルです。関門海峡の海底を約18.7kmにわたって通過しますが、実際に海底部分は約880mほど。乗客は車窓が暗くなるだけで、海底を通過していることにほとんど気づきません。
かつて計画されていた「幻の停車駅」
山陽新幹線の建設計画段階では、現在の19駅以外にも停車駅の候補地がいくつか存在しました。代表的なのが広島県北部への駅設置構想です。広島県の内陸部に駅を設ける案が検討されましたが、需要予測と建設コストの問題で見送られました。また、山口県の防府市にも駅の設置が検討されたことがあります。防府は徳山と新山口の中間に位置する都市で、地元からの要望もありましたが、駅間距離が短くなりすぎることなどを理由に実現しませんでした。一方で、岡山〜博多間の延伸計画時には、鳥取県を経由する「内陸ルート」も検討されており、もしこのルートが採用されていれば停車駅の顔ぶれは大きく変わっていたかもしれません。幻に終わった計画を知ると、現在のルートが最適解として選ばれた経緯がより深く理解できます。
東海道新幹線との意外な違い
同じ「東海道・山陽新幹線」として一体的に運行されていますが、実は東海道新幹線と山陽新幹線にはさまざまな違いがあります。最大の違いは運営会社で、東海道新幹線はJR東海、山陽新幹線はJR西日本が管轄しています。新大阪駅が両社の境界駅です。最高速度にも違いがあり、東海道新幹線が285km/hなのに対し、山陽新幹線は300km/hです。これは山陽新幹線の方がカーブが少なく、直線区間が長いためです。また、車内販売のサービスも異なることがあり、JR東海とJR西日本で提供する飲食物が違うことがあります。トンネルの数も大きく異なり、山陽新幹線は143本のトンネルがある一方、東海道新幹線は約66本です。山陽新幹線に乗ると車窓が暗くなる時間が長いのはこのためです。
山陽新幹線の停車駅に関するよくある質問
山陽新幹線と東海道新幹線の境界はどこ?
のぞみの自由席は山陽新幹線でも使える?
山陽新幹線で最も駅間距離が長い区間は?
山陽新幹線の駅で在来線に乗り換えできない駅は?
まとめ
📌 山陽新幹線停車駅のポイントまとめ
✓ 山陽新幹線は新大阪〜博多間の全19駅で構成される
✓ 列車の種類はのぞみ・ひかり・こだま・みずほ・さくらの5種類
✓ のぞみの基本停車駅はわずか6駅(新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉・博多)
✓ こだまは全19駅に各駅停車で、割引切符の利用でお得に移動可能
✓ 新尾道・東広島・厚狭の3駅は開業後に追加された「請願駅」
✓ トンネル比率約50%は新幹線の中でもトップクラス
✓ みずほは最速約2時間22分で新大阪〜博多間を結ぶ
山陽新幹線は、1972年の新大阪〜岡山間の開業から半世紀以上の歴史を持つ路線です。19の停車駅にはそれぞれ個性があり、世界遺産の姫路城がある姫路、四国・山陰への分岐点となる岡山、原爆ドームや宮島で知られる広島、九州への玄関口である小倉・博多と、どの駅にも旅の魅力が詰まっています。
列車の選び方ひとつで、同じ区間でも所要時間が2倍以上変わるのが山陽新幹線の面白いところです。急ぐときはのぞみやみずほで一気に移動し、時間に余裕があるときはこだまの割引切符でのんびり旅を楽しむ——そんな使い分けができるのが新幹線旅行の醍醐味です。
また、「新」が付く駅名が多い理由や、トンネル比率50%の裏にある歴史、請願駅として後から追加された3駅のエピソードなど、停車駅を深く知ることで新幹線の旅がより一層楽しくなります。次回の旅行では、ぜひこの記事の知識を活用して、山陽新幹線の停車駅めぐりを楽しんでみてください。

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