上野駅はJR在来線だけで17番線まであるホームに加え、地下深くには新幹線ホーム(19〜22番線)を備えた、東京でも屈指の巨大ターミナル駅です。「改札がたくさんあってどこから出ればいいかわからない」「新幹線ホームへの行き方が複雑すぎる」という声を頻繁に耳にしますが、実は上野駅の構造には「高架」「地平」「地下」という3つの層があり、この3層構造を理解するだけで驚くほどスムーズに移動できるようになります。
上野駅は1883年(明治16年)に開業した140年以上の歴史を持つ駅で、東北・北関東方面への列車が集まる「北の玄関口」として知られてきました。高度経済成長期には集団就職列車が到着するホームとして全国に知られ、石川啄木の歌に詠まれた「停車場」もこの上野駅です。この記事では、上野駅の構内図を3層構造に分けてわかりやすく解説しながら、各改札口の使い分け、乗り換えのコツ、歴史やトリビアまで徹底的にご紹介します。
📌 この記事でわかること
- 上野駅の「高架・地平・地下」3層構造の全体像
- 1〜17番線+19〜22番線の路線別ホーム対応表
- 地下約30メートルにある新幹線ホームへの行き方
- 中央改札・不忍改札・公園改札・入谷改札の出口別の使い分け
- 「北の玄関口」140年の歴史と集団就職の記憶
上野駅の全体像──3層構造と改札口の基本

高架・地平・地下の「3層構造」を理解しよう
上野駅が他の駅と決定的に違うのは、ホームが3つの異なる高さに分かれていることです。まず2階にあたる「高架ホーム」には山手線・京浜東北線・上野東京ライン・常磐線快速などが発着する1〜12番線があります。次に1階にあたる「地平ホーム」には、上野始発・終着の宇都宮線・高崎線・常磐線の列車が発着する13〜17番線があります。
そして地下約30メートルには「地下ホーム」があり、ここに東北・上越・北陸・北海道新幹線の19〜22番線が設置されています。この3層構造が上野駅を複雑に見せている最大の原因ですが、逆にこの3つの層を頭に入れておくだけで、「自分が行くべきホームは上なのか、同じ階なのか、下なのか」が判断できるようになります。改札口は主に高架ホームと地平ホームの間にあるコンコース(中2階〜3階付近)に集中しており、ここを起点に上下に移動する構造です。
改札口は大きく4か所に分かれている
上野駅のJR改札口は大きく4か所に分かれています。「中央改札」、「不忍改札(しのばずかいさつ)」、「公園改札」、「入谷改札(いりやかいさつ)」です。それぞれの改札から出られる出口が異なるため、目的地に合わせて使い分けることが重要です。
中央改札は上野駅で最も大きな改札で、正面玄関口・広小路口・浅草口に通じています。不忍改札は不忍口・山下口に通じ、アメ横(アメヤ横丁)に最も近い改札です。公園改札は上野公園の目の前に出られる改札で、動物園や美術館・博物館に行く方に便利です。入谷改札は駅の北側にあり、東京藝術大学や根津方面へのアクセスに利用されています。新幹線には専用の「新幹線改札」がありますが、在来線との乗り換え時には「新幹線のりかえ口」を使います。
上野駅に乗り入れる路線は全部で何本?
JR上野駅に乗り入れる路線を数えると、実に11路線以上になります。山手線、京浜東北線、東北本線(宇都宮線)、高崎線、常磐線(快速・各駅停車)、上野東京ライン、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、北海道新幹線、そして山形・秋田新幹線も経由します。
さらに隣接する東京メトロの上野駅には銀座線と日比谷線が乗り入れており、徒歩圏内の京成上野駅からは京成本線(成田空港方面)も利用できます。これだけの路線が集まる上野駅は、東京駅・新宿駅・渋谷駅・池袋駅と並ぶ首都圏5大ターミナルのひとつです。特に東北・北関東方面と東京都心を結ぶ結節点としての役割は、1883年の開業以来140年以上にわたって変わっていません。
上野駅特有の「地平ホーム」とは何か
上野駅の大きな特徴のひとつが「地平ホーム」の存在です。地平ホームとは、線路が行き止まりになっている頭端式(とうたんしき)ホームのことで、ヨーロッパの駅でよく見られる構造です。上野駅の13〜17番線がこれにあたり、列車はここから先へは進めず、必ず上野駅で折り返す形になります。
この地平ホームは上野駅が「ターミナル駅(終着駅)」であった時代の名残です。2015年に上野東京ラインが開業するまで、宇都宮線・高崎線・常磐線の多くの列車は上野駅が終点でした。乗客は上野で山手線や京浜東北線に乗り換えて東京・品川方面へ向かっていたのです。上野東京ライン開業後は多くの列車が東京駅方面に直通するようになりましたが、現在でも上野始発・終着の列車は地平ホームを使っています。特に朝夕のラッシュ時には上野始発の列車が重宝されており、始発駅で確実に座席を確保したい通勤客に人気があります。
東京メトロの上野駅は「別の駅」として存在する
JR上野駅に隣接して東京メトロの上野駅がありますが、これはJRとは完全に別の改札・別の駅として存在しています。東京メトロ上野駅には銀座線と日比谷線の2路線が乗り入れています。
銀座線の上野駅は1927年(昭和2年)に開業した歴史ある駅で、日本初の地下鉄路線の一部として開業しました。銀座線の上野駅ホームはJR不忍改札の近くに連絡通路があり、乗り換えには約3〜5分かかります。日比谷線の上野駅はJR中央改札から比較的近く、約2〜4分で乗り換え可能です。なお、JR上野駅と東京メトロ上野駅の間では、ICカード利用時に一定時間内であれば乗り換え割引が適用される場合があります。また、徒歩約5分の距離にある京成上野駅からは、成田空港へ直通するスカイライナーが発着しており、最速約41分で成田空港に到着できます。
ホーム番線ガイド──高架・地平・地下の3つのエリア

1〜4番線:山手線と京浜東北線(高架ホーム)
上野駅の1〜4番線は高架ホームに位置し、山手線と京浜東北線が使用しています。1番線は京浜東北線の北行き(赤羽・浦和・大宮方面)、2番線は山手線の内回り(田端・池袋・新宿方面)、3番線は山手線の外回り(東京・品川・渋谷方面)、4番線は京浜東北線の南行き(東京・品川・横浜方面)です。
山手線と京浜東北線のホームは駅の西側(公園改札寄り)に位置しています。両線は同じ方面のホームが隣り合っているため、対面乗り換えが可能です。たとえば山手線内回り(2番線)から京浜東北線北行き(1番線)への乗り換えは、同じホームで移動するだけなので非常にスムーズです。京浜東北線は日中に快速運転を行っており、快速は御徒町や鶯谷などの駅を通過するため注意が必要です。上野駅は快速停車駅ですので、どの時間帯でも安心して利用できます。
5〜12番線:上野東京ラインと常磐線(高架ホーム)
5〜12番線も高架ホームに位置していますが、こちらは上野東京ライン、常磐線、宇都宮線、高崎線の列車が使用します。番線の使い分けは列車によって変わることがあるため、必ず電光掲示板で確認しましょう。
基本的に、5〜9番線は上野東京ラインの通過列車や常磐線特急「ひたち」「ときわ」が使用し、10〜12番線は常磐線の快速電車が使用することが多いです。上野東京ラインの列車は高架ホームを通過する形で東京駅方面に向かうため、上野で降りない場合はそのまま乗り続けることができます。一方、上野駅で降車して乗り換える場合は、ホームから階段でコンコースに上がり、目的の路線のホームに移動する必要があります。高架ホームは東西に細長く、1番線側と12番線側では約200メートル以上の距離があるため、乗り換えには余裕を持ちましょう。
13〜17番線:上野始発の列車が発着する「地平ホーム」
13〜17番線は上野駅独自の「地平ホーム」で、地上1階に位置しています。ここには上野始発・終着の宇都宮線・高崎線・常磐線の列車が発着します。線路が行き止まりになっているため、列車はこのホームで折り返します。
地平ホームの最大のメリットは、始発駅なので確実に座れることです。上野東京ライン開業後、東京方面からの直通列車に乗ると上野で座れないことがありますが、地平ホーム発の上野始発列車であれば、発車前から車内で着席して待つことができます。朝のラッシュ時に座って通勤したい方にとって、地平ホーム始発の列車は貴重な存在です。ただし地平ホームは高架ホームの下にあるため、改札口からは階段を下りる必要があります。特に13番線は駅の南端、17番線は北端にあるため、番線によっては改札からかなり歩くことになります。乗車する番線を電光掲示板で確認してから移動するのが効率的です。
⭐ 重要ポイント
上野駅にはかつて18番線も存在しましたが、1999年に廃止されました。18番線は集団就職列車が到着したホームとして知られ、戦後の日本の社会史を象徴する場所でした。現在はホーム跡が残っているものの、旅客営業には使われていません。
19〜22番線:地下30メートルの新幹線ホーム
東北・上越・北陸・北海道新幹線のホームは、在来線とはまったく異なる地下約30メートルの深さにあります。19〜22番線の2面4線構成で、19番線と20番線が1つのホーム、21番線と22番線がもう1つのホームです。
上野駅の新幹線ホームが地下にある理由は、上野公園の地下を通過するルートで建設されたためです。上野付近は地上に新幹線の高架橋を建設する用地がなく、さらに上野公園の景観を守る必要もあったため、地下を通る選択がなされました。この地下ホームは1985年3月14日に開業し、東北新幹線の都心側の始発駅として機能していました(東京延伸は1991年)。地下深くにあるため、在来線改札からエスカレーターで降りていく体験は「地下宮殿に向かうようだ」と形容されることもあります。エスカレーターで新幹線ホームまで降りるのに約3〜4分かかるため、乗り換え時間には余裕を持ちましょう。
ホーム番線と路線の対応早見表
上野駅は番線の数が多く、どの番線にどの路線が入るのかを把握するのが構内図攻略の第一歩です。以下の早見表を参考にしてください。なお列車によって使用番線が変わることがあるため、必ず電光掲示板での最終確認をお忘れなく。
| 番線 | フロア | 路線 | 方面 |
|---|---|---|---|
| 1番線 | 高架 | 京浜東北線 | 赤羽・大宮方面 |
| 2番線 | 高架 | 山手線(内回り) | 田端・池袋・新宿方面 |
| 3番線 | 高架 | 山手線(外回り) | 東京・品川・渋谷方面 |
| 4番線 | 高架 | 京浜東北線 | 東京・品川・横浜方面 |
| 5〜9番線 | 高架 | 上野東京ライン・宇都宮線・高崎線・常磐線特急 | 東京方面直通 / 宇都宮・高崎・水戸方面 |
| 10〜12番線 | 高架 | 常磐線快速 | 松戸・柏・取手方面 |
| 13〜17番線 | 地平 | 宇都宮線・高崎線・常磐線(上野始発) | 上野始発・終着列車 |
| 19〜22番線 | 地下 | 東北・上越・北陸・北海道新幹線 | 仙台・新潟・金沢・新函館北斗方面 |
新幹線の地下ホームと乗り換え方法

在来線から新幹線への乗り換えルート
上野駅で在来線から新幹線に乗り換えるには、コンコースにある「新幹線のりかえ口」を利用します。在来線のホームから階段やエスカレーターでコンコース階に上がり、新幹線のりかえ口の改札を通ると、そこから新幹線ホームへのエスカレーターが始まります。
地下30メートルまで降りるため、エスカレーターは2〜3本を乗り継ぐ形になります。所要時間は在来線ホームの位置によって異なりますが、山手線・京浜東北線(1〜4番線)からで約8〜10分、地平ホーム(13〜17番線)からで約10〜12分が目安です。新幹線の乗車券と特急券の2枚(またはICカード)を改札に通す点は他の新幹線駅と同じです。なお上野駅の新幹線ホームは通過駅としての利用が中心で、東京駅と比べて乗降客が少ないのが特徴です。そのため新幹線ホームは比較的空いており、落ち着いて乗り降りできるのがメリットです。
なぜ上野駅の新幹線は「地下」にあるのか
上野駅の新幹線ホームが地下深くにある理由は、上野公園の地下を通過するルートで建設されたためです。東北新幹線は東京方面から北上する際、上野公園の直下をトンネルで通過します。地上に高架橋を建設することは、上野公園の貴重な緑地や文化施設(国立博物館、東京藝術大学など)への影響が大きすぎるため、地下を選択せざるを得ませんでした。
上野駅の新幹線ホームの深さは地表から約30メートルで、これは新幹線の駅としては日本で最も深い部類に入ります。1985年の開業当時、この地下駅の建設は大きな技術的挑戦でした。上野公園の地下は水を含んだ軟弱地盤であったため、凍結工法(地盤を凍らせて掘削する技術)が採用されるなど、最先端の土木技術が投入されました。ちなみに、上野駅の新幹線ホームが地下にある関係で、新幹線の車窓からは上野の景色は一切見えません。東京〜上野間は全区間がトンネルのため、乗客にとっては「暗いトンネルを抜けたら大宮だった」という感覚になるのです。
上野駅の新幹線ホームには、利用者が少ないことを活かしたユニークな特徴があります。ホームの壁面には上野にちなんだアート作品が展示されており、まるで地下美術館のような雰囲気です。東京駅の混雑を避けて、あえて上野駅から新幹線に乗車する「上野乗車派」のビジネスパーソンも少なくありません。座席を確保しやすく、改札の混雑も少ないため、快適な新幹線旅行の「穴場」として知られています。
上野駅から乗れる新幹線の路線と行き先
上野駅に停車する新幹線は、東北新幹線(仙台・盛岡・新青森方面)、北海道新幹線(新函館北斗方面)、上越新幹線(新潟方面)、北陸新幹線(金沢・敦賀方面)、さらに山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」も停車します。
ただし注意が必要なのは、すべての新幹線が上野駅に停車するわけではないということです。東北新幹線の最速達列車「はやぶさ」の中には上野駅を通過する便もあります。上野駅から新幹線に乗車する場合は、事前に停車する列車を確認しておきましょう。上野駅から仙台までは「はやぶさ」で約1時間25分、新潟までは「とき」で約1時間35分、金沢までは「かがやき」で約2時間20分です。東京駅からの乗車に比べて5〜6分ほど短くなる計算で、上野駅周辺に住んでいる方や、山手線の北側から新幹線を利用する方には大きな時間的メリットがあります。
東京駅と上野駅、新幹線に乗るならどっちが便利?
東北・上越・北陸新幹線に乗る際、東京駅と上野駅のどちらを利用すべきか迷う方も多いでしょう。結論は「自宅や出発地点の位置」と「何を重視するか」によります。
東京駅のメリットは、始発駅なので確実に座れること、そして東海道新幹線との乗り換えができることです。一方、上野駅のメリットは駅が空いていて移動がスムーズなこと、そして山手線北側(日暮里・池袋方面)からのアクセスが良いことです。乗車券の運賃は同じ(東京都区内発の場合)なので、費用面での差はありません。実際に上野駅の新幹線ホームは東京駅と比べて利用者が大幅に少なく、改札や売店も空いています。「混雑を避けてゆっくり乗車したい」という方には上野駅が断然おすすめです。ただし上野始発の新幹線はないため、座席は東京駅出発時点で埋まっている可能性があり、指定席の利用が賢明です。
改札口と出口の使い分け完全ガイド

中央改札──最も大きな改札、広小路口と正面玄関口へ
中央改札は上野駅で最も大きく、利用者が最も多いメインの改札口です。改札を出ると「広小路口」と「正面玄関口」に出ることができます。広小路口は上野広小路の繁華街に直結しており、マルイ上野店やヨドバシカメラ上野店がすぐ目の前にあります。
正面玄関口は上野駅の「顔」ともいえる出口で、レトロな雰囲気の駅舎が印象的です。現在の駅舎は1932年(昭和7年)に建てられたもので、鉄筋コンクリート造の堂々とした建物です。正面玄関口を出て右に進むと浅草口があり、ここからは浅草方面へのアクセスがしやすくなっています。中央改札のコンコースには「翼の像」と呼ばれるブロンズ像が設置されており、上野駅の定番の待ち合わせスポットとして長年親しまれています。この像は彫刻家・朝倉文夫の作品で、1958年に設置されました。「上野で待ち合わせ」と言えば、まずこの翼の像が思い浮かぶほど有名です。
不忍改札──アメ横へはここが最短
不忍改札(しのばずかいさつ)は中央改札の南側にある改札で、「不忍口」と「山下口」に通じています。上野の人気スポット「アメヤ横丁(アメ横)」に最も近い改札であり、アメ横の入口までわずか徒歩1〜2分です。
アメ横は上野駅から御徒町駅にかけての約500メートルに約400店舗がひしめく巨大商店街で、鮮魚・乾物・衣料品・雑貨・化粧品など何でも揃います。年末の買い出しで大混雑する光景は年末の風物詩としてテレビでもおなじみです。アメ横の名前の由来には「飴(あめ)を売る店が多かったから」という説と、「アメリカ横丁(戦後に米軍の放出品を売っていたから)」という説の2つがあり、実はどちらの説が正しいかは確定していません。不忍口を出ると不忍池の方面にも行けるため、春の桜シーズンには花見客でにぎわいます。
公園改札──上野公園・動物園・美術館へはここから
公園改札は上野駅の3階(高架ホームと同じ高さ)にある改札で、出ると目の前が上野恩賜公園です。上野動物園、東京国立博物館、国立西洋美術館、国立科学博物館、東京藝術大学など、日本を代表する文化施設が集中するエリアへの最短ルートです。
公園改札は在来線の1〜4番線ホーム(山手線・京浜東北線)から最もアクセスしやすい改札です。山手線のホームから階段を上がるとすぐ公園改札があり、出れば目の前に上野公園の緑が広がります。ただし5番線以降のホームや地平ホーム(13〜17番線)からは距離があるため、5〜10分程度かかる場合があります。上野動物園はジャイアントパンダの「シャオシャオ」と「レイレイ」で人気を集め、週末は入園待ちの行列ができることもあります。公園改札から動物園の入口までは徒歩約5分です。
入谷改札──北口方面、穴場の改札
入谷改札は上野駅の北端にある比較的小さな改札で、利用者数は他の改札に比べて少ない穴場的存在です。入谷口に出ることができ、駅の北側にある入谷方面や根津方面へのアクセスに便利です。
入谷改札が便利なのは、東京藝術大学や根津神社方面に向かう場合、そして東京メトロ日比谷線の入谷駅に乗り換える場合です。日比谷線の入谷駅は上野駅から1駅北にありますが、入谷改札から歩いても約10分でアクセスできます。また入谷改札の周辺はビジネスホテルが多いエリアでもあり、東北新幹線や在来線を翌朝利用する旅行者にとって宿泊に便利な立地です。知名度が低い分、改札周辺は空いていて静かなのがメリットです。朝のラッシュ時に中央改札が混雑しているときは、入谷改札に回ると比較的スムーズに入場できるため、覚えておくと重宝します。
主要路線への乗り換えルートと所要時間
山手線⇔新幹線の乗り換えは約8〜10分
山手線(1〜4番線の高架ホーム)から新幹線(19〜22番線の地下ホーム)への乗り換えは、上野駅内の移動の中で最も高低差が大きいルートです。高架ホームからコンコース階に降り、新幹線のりかえ口を通過し、さらにエスカレーターで地下約30メートルまで降りる必要があります。
所要時間の目安は約8〜10分で、初めての方は15分程度見ておくと安心です。ルートは明確で、コンコースの案内表示に従って「新幹線」の方向に進めば迷うことはほとんどありません。ポイントは、エスカレーターが2〜3本連続するため、体感的にはかなり深く降りていく印象を受けることです。急いでいる場合はエスカレーターの左側(歩行側)を使いましょう。なお、車いすやベビーカーの場合はエレベーターが設置されていますが、エレベーターは位置が限られるため、事前に構内図で確認しておくことをおすすめします。
常磐線⇔山手線の乗り換えは意外に近い
常磐線(10〜12番線の高架ホーム)から山手線(2・3番線の高架ホーム)への乗り換えは、同じ高架フロア内の移動なので比較的スムーズです。所要時間は約3〜5分で、階段でコンコースに上がり、山手線方面のホームに降りるだけです。
ただし注意が必要なのは、常磐線が高架ホーム(10〜12番線)と地平ホーム(15〜17番線)の両方を使う場合があることです。地平ホームの場合は高架ホームよりも移動距離が長くなり、所要時間は約5〜8分に増えます。また常磐線特急「ひたち」「ときわ」は高架ホームの8〜9番線付近を使うことが多いため、一般の常磐線快速とは異なるホームになることがあります。乗り換えの際は必ず電光掲示板で発着番線を確認しましょう。上野東京ライン経由で東京・品川方面に直通する列車であれば、上野での乗り換えは不要です。
京成上野駅への乗り換え──成田空港へのアクセス
JR上野駅から京成上野駅への乗り換えは、駅の外をいったん歩く必要があります。京成上野駅はJR上野駅とは別の建物にあり、不忍改札(不忍口)から出て徒歩約5分です。京成上野駅の入口は上野公園の南端付近、不忍池のほとりにあります。
京成上野駅から成田空港へは「スカイライナー」を利用するのが最速で、所要時間は最短約41分です。スカイライナーは日中は約20〜40分間隔で運行しており、料金は乗車券+ライナー券で約2,520円です。これはJRの成田エクスプレス(約3,250円)よりも安く、所要時間もほぼ同じかやや速いため、コストパフォーマンスに優れた成田空港アクセスとして人気があります。京成上野駅は地下にあるため、地上の入口を見落とさないよう注意しましょう。「京成上野」の看板を目印に、階段を降りると改札口があります。
東京メトロ銀座線・日比谷線との乗り換え

東京メトロ上野駅の銀座線と日比谷線は、JR上野駅とは改札外で連絡しています。銀座線へは不忍改札を出て徒歩約3〜5分、日比谷線へは中央改札を出て徒歩約2〜4分が目安です。
銀座線の上野駅は1927年開業の日本最古級の地下鉄駅で、渋谷・表参道・銀座・浅草方面へアクセスできます。日比谷線は中目黒・恵比寿・六本木・秋葉原・北千住方面を結んでおり、上野から秋葉原へは日比谷線でわずか2駅・約4分と非常に便利です。なおJR上野駅から東京メトロへの乗り換え通路には屋根がない区間もあるため、雨の日は傘が必要になることがあります。乗り換えの多い方は、ICカードに十分な残高をチャージしておくとスムーズです。
構内の商業施設・コインロッカー・便利情報
エキュート上野──改札内で買い物と食事ができる駅ナカ
JR上野駅の改札内には「エキュート上野」が設置されており、改札を出ることなく買い物や食事を楽しめます。エキュート上野は中央改札の近く、コンコースの中央部に位置しています。
エキュート上野にはスイーツ・惣菜・弁当・カフェなどの店舗が揃っており、新幹線や在来線の乗り換え待ちの時間を有効に活用できます。特に人気なのが「みはし」のあんみつ。創業1948年の老舗甘味処で、上野の名物として長年愛されています。またパンダにちなんだお土産が多いのも上野ならではの特徴で、パンダ型のクッキーやパンダ柄の雑貨など、上野動物園のパンダ人気を反映した商品が並んでいます。営業時間は店舗によって異なりますが、おおむね朝8時〜夜22時頃まで営業しているため、朝の通勤時や夜の帰宅時にも利用可能です。
コインロッカーは改札内外に約800個以上
上野駅のコインロッカーは改札内と改札外の両方に設置されており、合計で約800個以上あります。料金は小型400円、中型500〜600円、大型700〜800円が一般的で、交通系ICカード対応のものと現金専用のものが混在しています。
改札内では、中央改札を入ってコンコースの各所にロッカーが点在しています。特に地平ホーム付近のロッカーは利用者が少なく穴場です。改札外では、中央改札の外(広小路口方面)と不忍口の外にまとまった数のロッカーがあります。上野は観光地であるため、特に週末や連休中はロッカーが満杯になることがあります。空きロッカーが見つからない場合は、駅周辺のホテルや手荷物預かりサービスを利用する方法もあります。最近では、スマートフォンアプリで空きロッカーを検索できるサービスも普及しているため、事前にチェックしておくと安心です。
上野駅構内のアート作品と「翼の像」
上野駅は「アートの駅」としての顔も持っています。上野公園周辺に集まる博物館・美術館・芸術大学との縁から、駅構内にはさまざまなアート作品が展示されています。
最も有名なのが中央改札付近にある「翼の像」です。彫刻家・朝倉文夫の作品で、1958年に設置されました。天女が翼を広げたような優美な姿は、上野駅の象徴として広く親しまれています。この像の前が上野駅の定番待ち合わせスポットであることは先述のとおりです。また新幹線の地下コンコースには、上野の文化や自然をテーマにした壁画やタイル画が施されており、地下深くまで降りていく道のりを彩っています。さらに公園改札付近には企画展示スペースがあり、上野の美術館の展覧会情報や東京藝術大学の学生作品が展示されることもあります。鉄道の駅にいながら芸術に触れられるのは、文化施設が集積する上野ならではの体験です。
トイレ・授乳室・バリアフリー設備
上野駅のトイレは改札内の各ホーム階とコンコースに設置されています。特に中央改札付近のトイレはリニューアル済みで清潔感があり、パウダールームも備わっています。
授乳室・ベビー休憩室は中央改札内のコンコースに設置されており、おむつ替えシートや授乳用の個室スペースが利用できます。バリアフリー面では、すべてのホームにエレベーターが設置されており、車いすやベビーカーでの移動が可能です。ただし、新幹線の地下ホームへのエレベーターは位置が限られるため、事前にJR東日本のバリアフリーマップで確認しておくことをおすすめします。また駅員に声をかければ、乗降のサポートやルート案内を受けることもできます。外国語対応の案内表示も充実しており、英語・中国語・韓国語の表記が各所にあるため、海外からの旅行者にも比較的わかりやすい駅になっています。
上野駅の歴史──「北の玄関口」140年の物語
1883年開業──日本鉄道の拠点として誕生
上野駅は1883年(明治16年)7月28日に、日本鉄道(現在のJR東日本の前身のひとつ)の駅として開業しました。当初は上野〜熊谷間の路線の始発駅で、その後東北本線が延伸されるにつれて、東北・北関東方面への列車の起点としての役割を確立しました。
上野がターミナル駅として選ばれた理由は、江戸時代から上野が奥州街道の起点付近であり、東北方面への出発点として地理的に適していたためです。また当時の東京は日本橋〜銀座が中心部であり、上野はその北端にあたる位置でした。開業当初の駅舎は木造の簡素なものでしたが、利用者の増加に伴い何度も改築されました。現在の駅舎は1932年(昭和7年)に完成したもので、鉄筋コンクリート造の近代的な建物です。正面玄関口から見上げるその姿は、昭和のターミナル駅の風格を今に伝えています。
集団就職列車と「あゝ上野駅」の記憶
上野駅の歴史を語るうえで欠かせないのが、「集団就職列車」の記憶です。1950年代〜1970年代の高度経済成長期、東北地方の農村部から多くの若者が「金の卵」と呼ばれて東京に就職してきました。その多くが到着したのが上野駅の地平ホーム、特に18番線でした。
10代半ばの若者たちがスーツケースひとつで故郷を離れ、上野駅のホームに降り立つ光景は、日本の戦後史を象徴するシーンとして数多くの映画やドラマに描かれています。1964年には井沢八郎が歌った「あゝ上野駅」が大ヒットし、上野駅は「故郷を離れた若者たちの涙の駅」として全国に知られるようになりました。この歌の歌碑は現在も中央改札付近に設置されています。石川啄木が『一握の砂』で詠んだ「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」の「停車場」も上野駅のことです。啄木は故郷の岩手を離れて東京に暮らしていた時期に、上野駅で東北訛りを聞いて望郷の念にかられたのでした。
集団就職列車が到着していた18番線は、1999年9月11日に廃止されました。ホーム自体はまだ残っていますが旅客営業には使われておらず、「幻のホーム」として鉄道ファンの間で知られています。この18番線は単に使われなくなったのではなく、上野駅の改良工事や利用者の減少に伴って役目を終えたのです。戦後日本の社会の変化を静かに見つめてきたホームは、今も地平の一角にひっそりと佇んでいます。
1985年──新幹線が地下にやってきた
1985年3月14日、東北新幹線の上野駅が開業しました。これにより、それまで大宮駅が始発だった東北新幹線が上野まで延伸され、都心からの新幹線利用が飛躍的に便利になりました。
上野駅の新幹線ホームは地下約30メートルに建設されましたが、この地下駅の建設は当時としては最大級の土木工事でした。上野公園の地下を通過するルートは、国の重要文化財である旧東京音楽学校(現・奏楽堂)の直下を通っており、建物への影響を最小限にするための細心の注意が払われました。開業後の上野駅は東北・上越新幹線の実質的な始発駅として6年間機能し、1991年の東京延伸まで「北の玄関口」としての最後の輝きを見せました。東京延伸後は通過駅としての性格が強くなりましたが、現在でも約6割の新幹線が上野駅に停車しています。
2015年──上野東京ラインの開業でターミナルの姿が変わる
2015年3月14日に開業した「上野東京ライン」は、上野駅の歴史に大きな転換点をもたらしました。宇都宮線・高崎線・常磐線の列車が上野から東京・品川方面に直通するようになり、上野駅で乗り換える必要がなくなったのです。
上野東京ラインの開業により、上野駅の1日あたりの乗降客数は約13%減少しました。それまで上野駅で山手線に乗り換えていた乗客が、そのまま直通列車で東京・品川まで行けるようになったためです。地平ホームを使う上野始発の列車も減少し、かつての賑わいは落ち着きました。しかし「静かになった上野駅」には新たな魅力も生まれています。混雑が緩和されたコンコースにはカフェやショップが増え、ゆったりとした雰囲気で過ごせる駅に変貌しつつあります。また、上野始発の列車は本数が減ったとはいえ依然として運行されており、確実に座りたい通勤客にとっては今も「座れる始発駅」としての価値を持っています。
上野駅の未来──変わりゆく「北の玄関口」
上野駅は現在も進化を続けています。JR東日本は上野駅エリアの活性化を推進しており、駅構内のリニューアルや周辺施設との連携強化に取り組んでいます。
上野エリア全体では、国立博物館や東京藝術大学を核とした「文化の杜」構想が進められており、上野駅はその玄関口としての機能を強化する方針です。また隣の高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発と合わせて、山手線東側エリア全体の価値向上が期待されています。上野駅はターミナル機能としてはピークを過ぎた感もありますが、「文化と歴史の結節点」としての新しい役割を見出しつつあります。上野公園の文化施設群、アメ横の下町情緒、そして150年の鉄道の歴史──これらを結びつけるハブとして、上野駅はこれからも東京の中で独自の存在感を放ち続けるでしょう。
上野駅周辺の観光スポットと出口別アクセス

上野恩賜公園──美術館・博物館・動物園の集積地
上野駅最大の周辺スポットが上野恩賜公園(上野公園)です。公園改札から出るとすぐ目の前に広がるこの公園は、面積約53万平方メートルの広大な都市公園で、文化施設の集積度は日本随一です。
園内には東京国立博物館(日本最古の博物館、収蔵品約12万点)、国立西洋美術館(ル・コルビュジエ設計、世界文化遺産)、国立科学博物館、東京都美術館、上野の森美術館と、日本を代表する美術館・博物館が5つも集まっています。さらに上野動物園は日本で最初に開園した動物園(1882年開園)で、ジャイアントパンダをはじめ約300種の動物が飼育されています。春には約800本のソメイヨシノが咲き誇る桜の名所としても有名で、花見シーズンには1日数十万人が訪れます。これだけの文化施設と自然が駅の目の前にある環境は、世界の主要都市を見渡しても極めて稀です。
アメヤ横丁──不忍口から徒歩1分の巨大商店街
不忍改札を出て不忍口から徒歩約1分で到着するのが「アメヤ横丁(アメ横)」です。JR上野駅〜御徒町駅間のガード下を中心に約400店舗が軒を連ね、鮮魚・青果・菓子・衣料品・化粧品・スポーツ用品などありとあらゆるものが売られています。
アメ横の魅力は、大型商業施設にはない「値切り交渉」の文化が今も残っていることです。特に年末になると、鮮魚店が「カニ5杯で3,000円!」などと威勢よく叫ぶ光景はテレビの年末特番でおなじみです。アメ横は1946年に闇市として始まった歴史を持ち、戦後の混乱期には飴(あめ)を売る露店が立ち並んでいたことが名前の由来のひとつとされています。近年は外国人観光客にも人気が高く、多国籍な屋台フードが楽しめるスポットとしても注目されています。ケバブ、小籠包、タピオカミルクティーなど、国際色豊かなグルメを食べ歩きできるのがアメ横の新しい魅力です。
京成上野駅と成田空港──スカイライナーの乗り方
上野駅周辺から成田空港へ向かうなら、京成上野駅からスカイライナーに乗るのが最も便利です。京成上野駅はJR上野駅の不忍口から徒歩約5分、上野公園の南端付近の地下にあります。
スカイライナーは成田空港行きの有料特急で、最高速度160km/hは在来線としては日本最速です。京成上野から成田空港第1ターミナル駅まで最短約41分、第2・第3ターミナルまでは約44分で到着します。運賃はライナー券込みで約2,520円です。JRの成田エクスプレスと比較すると、料金は約700円安く、所要時間もほぼ同等かやや短いため、コストパフォーマンスに優れた成田アクセスと言えます。チケットは京成上野駅の窓口や券売機のほか、スマートフォンからのオンライン予約も可能です。海外旅行の出発前に上野公園やアメ横を楽しんでからスカイライナーで空港に向かう、という上野ならではの旅程もおすすめです。
出口別・目的地の最短ルート一覧
上野駅の4つの改札口・出口と周辺スポットの対応を一覧にまとめました。間違った改札から出ると大回りを強いられるため、事前に確認しておきましょう。
🔵 公園改札
上野動物園(徒歩5分)
東京国立博物館(徒歩7分)
国立西洋美術館(徒歩3分)
国立科学博物館(徒歩5分)
東京藝術大学(徒歩10分)
🟢 不忍改札
アメヤ横丁(徒歩1分)
不忍池(徒歩3分)
京成上野駅(徒歩5分)
東京メトロ銀座線(徒歩3分)
🟡 中央改札
マルイ上野店(徒歩1分)
ヨドバシカメラ(徒歩1分)
東京メトロ日比谷線(徒歩3分)
翼の像(改札内すぐ)
🔴 入谷改札
根津神社方面(徒歩15分)
入谷周辺ホテル街
東京メトロ入谷駅(徒歩10分)
まとめ
上野駅は高架・地平・地下の3層構造を持つ、東京でも屈指の複雑なターミナル駅です。この記事のポイントを振り返りましょう。
✅ 押さえておきたいポイント
✓ ホームは3層構造── 高架(1〜12番線)、地平(13〜17番線)、地下(19〜22番線)
✓ 改札口は4か所── 中央改札・不忍改札・公園改札・入谷改札
✓ 新幹線は地下約30メートル── 在来線からの乗り換えに約8〜10分
✓ 公園改札→上野公園・動物園、不忍改札→アメ横・京成上野駅
✓ 地平ホームは上野始発列車が発着── 座りたい方の味方
✓ 京成上野駅からスカイライナーで成田空港まで最短約41分
✓ 1883年開業、集団就職列車の記憶が刻まれた歴史ある駅
上野駅は1883年の開業以来、140年以上にわたって東京の「北の玄関口」として機能してきました。高度経済成長期には故郷を離れた若者たちを迎え入れ、東北新幹線の開業で東北と東京をより近くに結び、上野東京ラインの開業で首都圏の鉄道ネットワークの要となりました。
構内は3層構造で一見複雑ですが、「高架=山手線・通過する列車」「地平=上野始発の列車」「地下=新幹線」という3つの法則を覚えるだけで、迷うことなく移動できるようになります。改札を出る際は、目的地に合わせて4つの改札を使い分ければ、上野公園もアメ横も最短ルートでアクセス可能です。歴史と文化が凝縮された上野駅──次に訪れるときは、ぜひ構内のアート作品や地平ホームの風情にも目を向けてみてください。

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